タレント力は他と比較して十分か?

タレントが揃っているとは言われるものの、ベスト4に残っている他国と比べてそうなのかも熟考すべきように感じられる。

準決勝で対戦するベルギーのタレント力はフランスより上に位置しているように見える。ロメル・ルカクは現役五指に入る万能型FWで、ポストプレーがうまいとはいえ得点力に不満を残すジルーとは比較にならない。両者の相性は必ずしも良くないが、エデン・アザールとケビン・デブルイネというビッグタレントが同時に襲いかかってくればエンバペ一人の力だけでは対抗できないだろう。 決勝に進んだとて、クロアチアにも、現役最強MFのルカ・モドリッチが居る。そしてそれをバルセロナで黒子としての生き方を身に付けた天才パサー、イヴァン・ラキティッチがサポートするのだ。PK戦続きで疲労困憊だろうが、彼らの強い愛国心を侮ることはできない。

イングランドも一時代前の無秩序なチームではない。現役最高峰のストライカーであるハリー ・ケインを伸び盛りのデル・アリやラヒーム・スターリングが支え、その他にも若いタレントが多いチームはそれこそレ・ブルーと同タイプのチームだろう。ギャレス・サウスゲイト監督は経験値こそ低いが、ちゃんとバランスの取れたスタメンを組めているように映る。決勝で当たるとどうなるかは読めない。

筆者はフランスが優勝しないとは言っていない。ベスト4に進出した4チームは実力伯仲で、どこが優勝するかはもはや完全に読めない状態だ。替えの効かない選手が怪我する可能性は、怪我しない可能性よりは低いのは確かだ。 それでも、初めてフルシーズンをプロリーグで過ごし、シーズンオフにビッグトーナメントを戦うエンバペ、短期間でこんなにもフル出場を続けたことはないジルー、さらには怪我がちな主力CBのラファエル・ヴァランがあと2試合まで持つかと言われれば自信は持てない。他の選手より怪我する可能性は高いだろう。

読者の皆さんには、筆者が重箱の隅を突いているように見えるかもしれない。しかし、拮抗した4チームの運命を左右するのはディテールの部分だ。綱渡りのフランスは、残り2試合、その綱を渡り切れるだろうか。デシャン監督は外した選手たちを外したことを後悔しなくて済むだろうか。私の懸念が杞憂に終わることを祈るが…。

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