CB部門

ラファエル・ヴァラン(フランス)

ドマゴイ・ヴィダ(クロアチア)

堅牢な守備からのカウンターがチーム最大の武器となっていた今大会のフランスだったが、それを実現できたのはセンターバックにラファエル・ヴァランがDFラインに君臨し続けたからだ。

グループリーグの第一、二戦目は目立たなかったが、三戦目以降からアクセル全開。とりわけベスト8以降は“ほぼパーフェクト”と称賛するべきディフェンスを続け、同様にフランス自慢の武器であるセットプレーの場面では、ターゲットとして相手守備陣に脅威を与えた。

クロアチアとの決勝戦の一点目は記録上はオウンゴールであったが、試合を大きく動かしたあの一撃は、アントワーヌ・グリーズマンのキックに絶妙のタイミングで飛び込んだヴァランなしでは起こり得なかっただろう。

そして、もう一人のセンターバックには、クロアチアを魂の守備で支えたドマゴイ・ヴィダとした。

正直、大会前に彼がここまで名を売るとは誰もいなかっただろう。欧州予選では全試合に出場した守備の要ではあったが、世界レベルのアタッカー陣相手では実力不足を露呈するのではないかと思われていたからだ。

しかし、蓋を開けてみたら、良い意味で期待を裏切ってくれた。

「ボールに行く時」と「引く時」を正確に使い分け、空中戦でも自分の背丈以上の選手をもろともしない競り合いで何度も制した。今大会の彼らは、観る者の魂を揺さぶる集団であったが、その権化と言うべき存在がヴィダであったと断言しても差し支えないだろう。

なお、次点は整備されたスウェーデンの守備組織を統率したアンドレアス・グランクヴィスト。さらに、「割り切ったサッカー」を実践するウルグアイにおいて重要な役割を担ったディエゴ・ゴディンを選んだ。共にキャプテンマークを巻いていた選手となったが、それは偶然ではないだろう。やはり、「勝ち上がるチーム」には守備のリーダーが必須であると再確認させられた者は筆者だけではないはずだ。