苦境の中で柴崎が活きるには…

前段で触れたアントゥネスの役割は、本来なら柴崎がまっとうすべきだ。柴崎をダブルボランチの一角に据えれば、これまで以上に良質なボールが送り込まれ、チャンスの数も増えるはずだ。だが、中盤センターにボール奪取とフィジカルと求める指揮官の下では、ボランチとして出場機会を得るのは難しい。

そうなると、昨季も起用された2トップの一角(セカンドトップ)もしくはサイドハーフが“柴崎の居場所”となる。基本的に最前線はゴールゲッターを配置するのが指揮官の好みで、アンヘルにしても、モリーナにしてもエリア内で輝く“9番タイプ”のストライカー。ボランチ同様、指揮官の理想とは異なっているのが現状だ。

では、鹿島アントラーズ時代も起用されたサイドハーフはどうか。現スカッドを見ると、右サイドはフルキエ、左サイドはアマト、マタ、サムエル・サイス、柴崎、ウーゴ・ドゥーロ、両サイドでポルティージョ、ロベルト・イバニェス、イバン・アレホが主に起用されている。指揮官の好みはドリブラーまたは縦の推進力があるタイプで、柴崎とポルティージョ以外のメンバーがこれに該当する。

しかし、柴崎と同じくパスセンスに優れ、トップ下や中盤センターでも機能するポルティージョが準レギュラー的に使われていることを考えると、背番号10にもチャンスがあると言える。さらに左サイドは1番手のアマトが15節のレガネス戦で全治半年の大怪我を負っている。翌節のソシエダ戦では柴崎に出番が回ってきており、アジアカップから復帰後は左サイドで出番を得てもおかしくはない。

柴崎の持ち味が一番発揮できるのは中盤センターであるのは間違いないが、サイドハーフでも優れた戦術眼を活かし、機能するのは鹿島時代に証明済みだ。巧みなキープで時間を作り、一列下のアントゥネスが攻め上がる形を確立できれば、左サイドからの崩しも多彩となるだろう。

指揮官の好みとは異なり、苦境に立たされている柴崎だが、どのような戦術、ポジションにも適応できる器用な選手である。現行の4-4-2は鹿島と同じフォーメーションであり、鹿島もカウンターを武器としているチームだったことを踏まえれば、ヘタフェはプレーしやすい環境のはず。

1月にはイングランド2部のリーズからアタッカーのサイスが加わり、ライバルが増えた格好となっているが、この逆境を乗り越え、“ヘタフェで輝く柴崎”を是非とも見たいものである。

2019/01/07 written by ロッシ

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