基本コンセプトは「堅守速攻」
現在のヘタフェが志向するのは、「堅守速攻」である。MF4人とDF4人によるコンパクトな守備ブロックを自陣に形成し、奪ったボールは2トップに預け、手数を掛けずにゴールへ迫っていく。
ボールを前線に素早く送り込むには、優れた配球役の存在が必要不可欠となる。しかし、中盤センターのアランバーリとマクシモヴィッチはともにバランサー型のボランチで、展開力に特段秀でている訳ではない。ここでカギを握っているのが、両サイドバックのふたりだ。
右SBのスアレス、左SBのアントゥネスはともにキック精度が高く、プレースキックを任せられてもいる。ウルグアイ人の前者は、ロングボールを最前線に送って局面を前に進め、正確なクロスでチャンスメイクをこなす。
そして、同じくクロス精度に定評があるポルトガル人の後者は、巧みなスルーパスをスペースに送り込み、前線を後方から操る(日本人で言えば、北海道コンサドーレ札幌の福森晃斗的なプレースタイルである)。
左サイドハーフには、アマトやマタなど基本的にドリブラーまたはアタッカー色が強い選手が起用されており、積極的に仕掛ける役割が求められている。アントゥネスのような“パサー型のサイドバック”は、彼らの特長を引き出すにはうってつけの存在なのである。