ハン・グァンソンがイタリアに来たきっかけは、2016年に設立されたISMアカデミー。ペルージャに拠点を置くこの育成機関は北朝鮮サッカー協会と独占的な関係を持っている。
ISMアカデミーは毎年スカウトがピョンヤンへと向かって選手を探しており、同国唯一の海外へのパイプとなっている。
多くの同胞とともに入学したハン・グァンソンは、マンチェスター・シティやフィオレンティーナからも関心を受けていたものの、最終的にはカリアリを選択した。
入団した際には「両足ともに優れており、ドリブルと視野にも高い能力を持つ。ほぼパーフェクトな選手だ」と評価されていた。
身長は178cmとそれほど大柄ではないものの、アタッカーとして必要とされている能力を数多く備えている。
自らスペースへと運んでいくドリブル、一対一での仕掛け、両足からも頭からもシュートが打てるセンス。さらに豊かなスピードと運動量まで特徴である。
今夏のマーケットではスイスのFCシオン、スペインのバレンシアCFからも獲得のオファーがあったと言われており、一説には後者が提示したのは1000万ユーロ(およそ11.6億円)であったとか。
なお、同じハン・グァンソンとともにISMアカデミーから輩出された選手として知られるのはチェ・ソンヒョク。彼はイタリアで大きな問題に直面した。
彼はフィオレンティーナに加入したものの給与が大半北朝鮮に流れているのではないかという疑惑を持たれ、最終的には退団を余儀なくされている。
そう、北朝鮮の選手にとって問題となるのはむしろ給与の行き先なのだ。
もし選手の銀行口座が実質的に政府によって管理され、お金が北朝鮮へと渡っているとすれば、これは国際的制裁の違反となる不正送金である。
ハン・グァンソンの才能には疑いがない。技術とスピードと得点能力を兼ね備えたアタッカーであり、イタリアで結果を残しているという実績も持つ。あとは政治的なものに巻き込まれることがなければ…。