いわきFCでアナリストを務める村上佑太氏によると、他のチームではおそらく分類していないデータとして「後ろにパスをした回数」と「倒れた回数」の2つを挙げた。
特に「後ろにパスをした回数」はそれ自体が駄目というわけではもちろんないが、チームとして重視している数値だという。いわきFCのスタイル、フィロソフィーが感じられる話だ。
一方、カタパルトは、選手がシャツの下に身に着けるためその見た目から「デジタルブラジャー」と呼ばれることもあるGPSデバイス。
こちらも様々な数値を計測できるが、主な役割といえるのが「怪我の防止」と「コンディショニング」だ。
選手の負荷を見るプレーヤーロードという値が重要で、それがどれだけ溜まっているかによって、たとえばオフ明けの火曜日の練習、基準の数値を超えている選手はあまり練習をせずにリカバリ。基準を超えていない、つまり疲労の少ない選手は普段通りしっかり練習するといった形で故障率の改善につなげている。
さらにデータを見る上での特徴として、「スプリント」の数値は通常、全選手一律で一定のスピードを超えると「スプリント1本」としてカウントするのが一般的。しかし、いわきFCでは50m走のタイムを基に各選手固有のスピード値を設定。足の速さが違う中で選手それぞれのスプリント回数を計測している。
90分間止まらない、倒れない、エキサイティングな『魂の息吹くフットボール』を体現するため何が必要かを具体的に考え、裏付けとしてデータを積極的に用いているいわきFC。
ここまでやるからこそ見えてくる成果や課題は、日本サッカー界にとっても価値のあるものとなっていくはずだ。彼らの取り組みに引き続き注目していきたい。