――具体的には何を?

我々の特徴はボールを奪いに行くという部分です。高い位置から守備でも仕掛ける。常々「アグレッシブにやろう」と伝えています。

もちろん広島はカテゴリーが上のチームで、個々の能力も高い。「上手くいく部分と上手くいかない部分が出てくるだろう」と考えていました。90分の中で、自陣に引いて我慢をする時間が必ず出てくる。そこのリトリートディフェンスのところを確認した…という点が戦術的なポイントの一つでした。

練習の中で熱く指示を飛ばす瀧原直彬監督

関西リーグでも今後自分たちが目標を達成するために必要となってくる一つのオプションです。相手の特徴も頭に入れれば、そのような場面が90分の中で多く出てくるだろうと。連戦ということで疲労もありましたので想定しました。

――サンフレッチェ広島のメンバーについては予想は出来ていましたか?

広島も次の試合が近い状況でしたし、メディアの記事にも「若手を起用する」「出場機会が少ない選手を中心にする」という言葉がありましたので、何パターンか考えていました。

――試合前のプレビューでは、広島の城福監督がおこしやす京都ACについて「オーソドックスに4-4-2を使ってくるチームだ」と話していました。記事は読まれました?

読みましたが、だからといってあえて変えようとは思いませんでした。少なくとも立ち上がりについては「自分たちがこれまでやってきたことをぶつけよう」と考えていました。

――試合では前半の早い時間帯で点が入りましたね。狙い通りでしたか?

前半で点を取りたいというよりは、「攻撃でも守備でも自分たちから仕掛けていこう」と伝えていました。もちろん、前半から点は取りに行きますし、守備でもボールを高い位置から奪いに行くというプランではありました。ただキックオフから10分ほどは…。

――見るからに硬かったですね。

いつもと違う硬さがある中、相手にビッグチャンスも作られました。しかし、あそこで失点しなかったからこそ「自分たちもやれる」という雰囲気が出ました。

得点が決まる直前からは相手のビルドアップに対して前線から仕掛けていく部分を出せていました。自分たちが強気になった。「行ける」と感じたところが、得点に繋がったのではないかと思います。

――得点はまさに前からボールを奪っての形でしたね。2-1とリードして迎えたハーフタイムで、選手の様子はどうでしたか?

前半終了間際に1点取られてしまいましたが、それが逆に「ここでもう一回締めなきゃいけない」という選手の意識に繋がったように思います。

――試合の中盤になってピンチを迎える場面が多くなりました。その時はどう対処しようと?

その中でも、選手が最後の局面で身体をぶつけることができていたので、安心して見ていました。そして、ここから「勝つためにどう新しい選手を入れていくか」と常に考えていましたね。相手が点を取りに来ている。そこでこちらがもう1点取れば試合を終わらせられる、締めることができる…と考えながら見ていました。

あとは連戦の影響による疲労のことですね。誰の足が止まるのか…と考えながら見ていました。

――試合終了後の「すぐリーグ戦に切り替えるぞ」という言葉が話題になりました。あれは、昨年の瀧原監督なら出なかった言葉のように思います。昨年の自分と今年の自分、そこに違いを感じますか?

周りを頼れる部分が出てきたように思います。1年目は「あれもやらなきゃいけない、これもやらなきゃいけない」と精一杯で、さらに結果が出ず、自分を追い込んでいました。なかなか道が見出だせずに悩みましたが、その点で成長したと思います。

今季は選手に頼ることも多くなりました。また、コーチを務めている守屋(守谷鷹人)と清水(清水良平)が選手を兼任しているのも大きいです。

――次の試合への切り替えの部分は、強く意識していますか?

勝ったことは素晴らしいのですが、重要なのはどう次に生かすかです。

コーチとして何度もJFL昇格をかけた地域サッカーチャンピオンズリーグに臨みました。連戦の中で、勝っても負けても明日が来る。そこでどう勝っていくかを考えていました。

そのような経験があるので、「終わった瞬間に次の準備」という意識が強くなったのかもしれませんね。