――その結果、相手ボールになった際、山根選手が右サイドで相手の複数人を見ているケースが試合中たびたびあります。1人で複数人を見る時のコツはどの辺りでしょう?

ボールホルダーをしっかり見ておくことですね。

どういうキックの質で狙っているのか。ボールが足もとに入りすぎてはいないか。逆サイドに蹴ることができる場所に置いているのか。この選手はキック力があるのかないのか。逆を突くのが好きな選手なのかどうか。その辺りを見ています。

僕は右サイドなので、相手に左利きの選手がいた場合、先に外へ動くと足首を返して内側を通されてしまいます。左利きの選手がいたら、事前に映像をチェックしてそちらに蹴る傾向があるのをイメージしながら対応しています。

――なるほど。内側を通されるほうがよりゴールに近い位置にボールが入ってしまいますものね。そういう駆け引きは、守備の面白さでもある部分ですか?

オニさん(鬼木監督)にもそこを期待してもらっていると思います。今季そういうシーンをもっと作っていきたいです。昨季のほうがそういうシーンは多かったので、そこの思い切りの良さを最後出していきたいですね。

――日本代表が現在、アジア最終予選を戦っています。山根選手は10月こそ招集されませんでしたが今年コンスタントに呼ばれていて、9月は中東への遠征も経験しました。最終予選の雰囲気はやはり違いました?

相手の熱量がまず違いますし、時差やコロナ禍での制限、試合では1点の重みを感じました。なにより、試合に臨むにあたっては力のある選手が揃っていても、まずはしっかり良い準備をすること。そこが最終予選を戦う上でのベースになると実感しました。

――最終予選は11月もあります。再びA代表へ呼ばれるために自身の中で上げていきたい部分はどこでしょう?

対人守備のところですかね。もっと強くならないといけないですし、外国人選手は日本人と比べてやはり体が大きいので、そういう相手に対してどう守るのか、もっと勉強していかなければならないと思っています。

――FC東京戦の試合後コメントで、山根選手が「自分は等々力でサッカーするのが一番楽しい」と言っていたのがすごく印象に残りました。そう語った理由は何だったのですか?

しばらくホームから離れていて、しかもFC東京戦は久しぶりに1万人が入れる試合でした。たくさんのサポーターの皆さんに応援してもらい、一緒に戦ってもらうのはすごく嬉しいです。そういう場所でサッカーをするために今までやってきた部分もあります。

自分たちのゴールや良いプレーに、スタジアムが沸く。正直、試合をやっている時は僕らも気持ち良くなっちゃっています(笑)。あれは生きていてなかなか感じられるものではないので、もし引退したらどうなるのだろうと。あの刺激がない生活が想像できないくらい、すごいところでプレーさせてもらっています。

ホームの等々力はボールを持っていても一番やりやすいピッチですし、雰囲気を含め、等々力でサッカーをするのが今は一番好きです。

※毎年恒例のハロウィン企画では、背番号13に因んだ仮装を披露した山根。クラブにもすっかり馴染んでいる様子だ。