しかしそれからしばらくして、彼の未来は変わり始める。アルミニア・ビーレフェルトからトライアルの誘いが来たため、引退を撤回して合格。すぐにドイツ2部で力を発揮し、1部への昇格に貢献した。

そして2020年にRCランスへと移籍し、28歳にして初めてフランス・リーグアンのピッチに出ることとなったのだ。

まるでダニ・アウヴェスのようだとも言われる圧倒的な攻撃力とスピード、正確なクロスと高い技術を持っている彼はファンに愛され、「#ClaussEnEDF」(クロスを代表に呼べ)というハッシュタグキャンペーンも行われた。

「もちろん私は彼にフランス代表でプレーして欲しいけど、彼もそれを信じていない。そんな事はありえないと言っているわ」

クロスの母親もインタビューでこう答えていたが、その予測は外れ、今回のインターナショナルマッチでついに青いユニフォームを着てピッチに足を踏み入れた。

ただ、この南アフリカ戦で彼はスタジアムのサポーターから激しいブーイングを受けることになった。それはなぜか。

というのは、南アフリカ戦が行われたのはRCランスのライバルであるリールの本拠地ピエール=モーロワであったため。

試合前にはスタジアムの周辺からジョナタン・クロスを揶揄するような落書きも多く発見されていたとのことで、地元のファンに敵視されていたのだ。

最初の2回のタッチでは会場から激しい口笛が鳴らされたものの、その後徐々に励ましの声にかき消され、88分にピッチを去るときには大きな拍手で送られることに。

ジョナタン・クロス

「ここ数日、次々と美しい思い出ができたような気がするよ。他のものと比較することはできない。全てを記憶したいね。

僕はフランス代表が求めるレベルに達さなければならない。最善を尽くし、学び、理解し、高い基準を設定する。そこに達さないものがあったとしたら、それを目立たないようにしたいね」

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『ÉquipeTricolore』にクロスはそう話したとのこと。果たして珍しい遅咲き選手はフランス代表の一員としてワールドカップに臨めるのか。

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