終盤戦でも昇格争いに絡む要因は?

開幕から上々の滑り出しに成功し、終盤戦になっても昇格争いに絡んでいる大きな要因は、今季より指揮を執る木山隆之監督の存在だ。8月度の月間優秀監督賞を受賞した指揮官は、攻守に明確なコンセプトを打ち出してチームをひとつに束ねている。

攻撃のコンセプトは、最終ラインからのロングボールとサイドを有効活用して揺さぶる形を織り交ぜたスタイルだ。ボール保持者がスペースを見つけ、フリーの味方にどんどんパスを供給しながら局面を前に進めていくのが特徴。柳とバイスというキック力に優れたセンターバックからのロングフィードと迫力あるサイドアタックの二段構えで崩していく。

守備のコンセプトとしては、コンパクトな守備ブロックの構築と連動したハードプレスが挙げられる。インサイドハーフの田中と河井が広範囲をカバーするハードワークで戦術の根幹を担い、2トップも献身的なプレスで後方の味方を助ける。得点源として活躍中のチアゴ・アウベスも例外ではなく、イレブン一人ひとりに自己犠牲の精神が植え付けられているのだ。

加えて、シーズンが進むにつれて戦術的な引き出しが増えてきている点も見逃せない。3バック採用以前の基本形だった4-2-1-3を状況に応じて現行の3-5-2と使い分けることが可能となっており、夏場の補強と積極的なターンオーバーにより選手層もグッと厚みを増した印象だ。総力戦となる終盤戦を戦い抜くにあたり、心強い点だと言えるだろう。