6日に行われたFIFAワールドカップ・カタール2022のラウンド16。モロッコ代表がPK戦の末にスペイン代表を撃破した。
そこで活躍を見せたのがモロッコ代表の守護神ヤシン・ブヌ。PK戦ではサラビア、ソレル、ブスケツのシュートを3連続セーブし、一度もネットを揺らさせなかった。
なんと生まれはカナダ
ヤシン・ブヌは1991年生まれの31歳で、もともとカナダのモントリオールで生まれたという珍しい出自を持っている。父親がモロッコの名門ハッサニアー工科大学を卒業したエンジニア兼教師で、仕事のためカナダに在住していたためだ。
ただ2歳になったころに両親の出身地であるモロッコへと移住し、ウィダード・カサブランカ(WACカサブランカとも)のアカデミーに加入。少年時代から圧倒的な反射神経を持っていたため、コーチからすぐにゴールキーパーを勧められたという。
そして19歳でトップチームに昇格してデビュー。僅かな出場でインパクトを残し、2012年にアトレティコ・マドリーへと引き抜かれてスペインでのキャリアをスタートさせた。
Bチームでのプレーを経て2部のレアル・サラゴサへと貸し出され、2016年に完全移籍したジローナでリーガ1部昇格を経験。2019年にはセビージャへと移り、スペインでも屈指のキーパーとして評価を得るに至った。
また攻撃面でも珍しい記録を持っている選手で、2020-21シーズンのバジャドリー戦では自らゴールを決めた。しかも足でのシュートであった。
さらに2021-22シーズンにはリーグ最小失点の証「サモラ賞」を獲得しつつ、GKながら年間2アシストという非常に貴重な記録も達成した。また英語、スペイン語、フランス語、アラビア語の4つを話すことができるということで、様々な国の選手とコミュニケーションも可能であるという。
ちなみにペナルティキックの成績は50本を経験して13本をセーブ。阻止率は26%という強さだ。
代表では
代表についてはカナダとモロッコ両方の資格を持っていたが、あのピム・ファーベーク氏が率いていたモロッコU-20代表に誘われたことで2012年のトゥーロン国際大会に参加。
その後行われたロンドン五輪では日本代表、スペイン代表とも対戦しているが、サブキーパーだったため両試合ともに出場機会はなかった(ちなみに永井謙佑のゴールで日本が1-0と勝利、スペインとは0-0の引き分け)。
モロッコ代表でレギュラーを獲得したのは意外と遅く、2019年あたりから。前回のワールドカップでは一度も出場機会がなかった。
ただ特にヴァイッド・ハリルホジッチ監督の下で絶対的な存在となり、今回のワールドカップでは信頼できる第1キーパーとして参加することができたのだ。
その武器は圧倒的な反射神経を武器としたシュートストップ、そして足元でのプレー。現代的なスタイルにも合うとされており、それは今回のワールドカップでも遺憾なく発揮されている。
ちなみに発音についてはブヌーが最も近いが、アラビア後はウとオの発音が曖昧であり、さらにあだ名が「Bono」なのでボノでも間違いではない。
モロッコを史上初のベスト8に導いたブヌ。ここからの活躍にも期待できそうだ。