心地よい巨大空間スタジアム・オーストラリア
試合が進むとイングランド女子代表が時間を稼ぐ。マチルダズのサポーターが一斉にブーイングする。応援する選手でもシュートがミートしなければ嘆きの声が出る。
でも、ネガティブな雰囲気が現れない。なぜなら、同じ空間を共有するすべての人がスポーツを愛し、アスリートを尊敬し、スポーツを全身で楽しんでいるから。選手が喜べばスタンドが喜び、選手が悔しがればスタンドも悔しがる。スタジアム・オーストラリアは、そんなシンプルな共感が大前提にある心地よい巨大空間だった。
1-3のスコアで開催国が敗退。試合終了のホイッスルが鳴ると、マチルダズのサポーターたちは落胆を隠せなかった。しかし、ここまで幾多の試練を乗り越えて勝ち上がってきたチームに大きな拍手を贈った。
マチルダズのトニー・グスタフソン監督は、ピッチにスタッフも呼び込んでハート形の円陣を作った。
その向こうでは勝利したイングランド女子代表も円陣を組んだ。それぞれ、週末の3位決定戦と決勝戦に進む。
さっきまで、隣で絶叫していたマチルダズのサポーターはピッチ上の2つの輪を見つめ拍手していた。そして、何かを天に叫んで帰っていった。悔しさが伝わるシーンだった。
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サポーターがここまで感情をあらわにできる女子ワールドカップは素晴らしい……いや、だからじゃない。たぶん、性別は関係ない。ここまで夢中にしてくれるサッカーが素晴らしいのだろう。