名門クラブで着実にステップアップ

小久保がベンフィカに加入した際のリリースには「U-19, U-23, Bチームに加わる」と書かれていた。

昨今の福田師王(ボルシアMG)、佐藤恵允(ブレーメンU-23)らがそうであるようにまずセカンドチーム等で経験を積み、結果を残せばトップに昇格できるヨーロッパで主流になっているシステムだ。

ここでベンフィカのシステムをみていこう。

  1. トップチーム
  2. Bチーム
  3. U-23チーム
  4. U-19チーム
  5. U-17チーム
  6. U-15チーム

ベンフィカは基本的に以上の6段階で構成されており、18歳で加入した小久保はまずは上記の3と4に該当するU-19とU-23のチームでプレーすることとなった。

小久保が本格的にプレーし始めたのは2019-20シーズンからだ。このシーズンはU-19のUEFAユースリーグ(19歳以下のチャンピオンズリーグに相当)とU-23の国内リーグを掛け持ちでプレー。UEFAユースリーグでは決勝でレアル・マドリーに敗れたものの準優勝に輝いた。

写真は昨年8月のスーペルコパでのもの

上々の1年目となったが、この時期に最初の不運に見舞われる。それがコロナの流行である。世界を混乱に陥れたこのパンデミックはサッカー界にも大きな影響を与え、リーグ戦が一時中断、ユーロ2020は2021年に延期される事態となった。

小久保もリーグ戦での貴重な実戦の場を失い、さらに出場が有力視されていた2021年U-20ワールドカップは大会自体が中止に。出場の候補だった東京五輪もメンバーから落選するなど国際経験を積む機会も逃してしまう。

それでも2020-21シーズンは初めてBチームでベンチ入り。シーズン後半の2021年3月にはベンフィカとの契約を2025年6月まで延長し、同5月にはトップチームに一時合流してベンチ入りも果たす。さらに翌2021-22シーズンには本格的にBチームに帯同し、初出場を含む9試合に出場した。

この時点で21歳。コロナ禍による不運はあったにせよ、成功への階段を確実にのぼっているかと思われた。