かつてバルセロナにも所属したドイツ人GKロベルト・エンケ。

2009年、ハノーファーでキャプテンを務めていた彼は32歳で自ら命を絶った。その後、妻はエンケがうつ病を患っていたと明かしている(娘も亡くしていた)。

そうしたなか、2002-03シーズンにバルサでエンケとともにプレーしたアルゼンチン人GKロベルト・ボナーノが、『Relevo』のインタビューでエンケについて語った。

「個人的要因などで自信を持てなくなることがある。物事がうまくいかなくなる。そして、根本的な問題に行き着く。自分は引退してから、スポーツ心理学者(心理カウンセラー)がいなかったことを後悔した。

なぜなら、彼らはアスリートを助けてくれる小さな支えだからだ。スポーツ心理学者は個人とサッカーのパフォーマンスに貢献してくれる。

チームメイトだったロベルト・エンケのケースを可視化する必要があると思う。波の頂点にいると思っていて、いいことばかりを見ていても、鬱やとてもつらい時期にある人もいる。彼らを助けるためには、それをいち早く察知することが重要だ。

(エンケの訃報は)非常に受け入れるのがつらいものだった。バルサで1年一緒だったので不思議だった。彼がつらい時期にあることは知っていたが、スポーツ的な問題によるものだと思っていた。

ポルトガルでスターだった彼はスタメン起用されると思って加入したがそうはならなかった。コパ・デル・レイ(カップ戦)で起用された時は活躍できず逆効果になった。チームは敗れ、彼はとても苦しんだ。それが彼の性格だと思っていた。新しい国でコミュニケーションが難しく、彼は言葉(スペイン語)もあまりしゃべれなかった。

自分たちは誰も彼の個人的問題を知らなかった。それには腹が立った。なぜなら、同じ部屋にいることも多かったのに私には何かを話してくれることは決してなかったから。自分にできることはほとんどなかったかもしれないが、彼に誰かと話すように勧めることはできたはずだ。

彼のマネージャーもそのことを知らなかったこと、彼の妻が彼を助けるためにもっと早くに公表しなかったことには驚いた。ただ、他人に起きていることは分からない。常に自分を強く見せ、弱さを見せないようにしなければいけない環境では、他人に弱さを伝えるのは難しい。

彼はサッカー人生で最高の時に自殺を決意した。ハノーファーのスターで、ドイツ代表への復帰も噂されていた。とても不思議だったし、毎年命日が近づくと彼のことを思い出す人達がいる。私は彼の夫人が同じような境遇にある人々を支援するための財団を設立したことをいつも思い出す」

ボナーノが引退後にコーチを務めたセルタには心理カウンセラーがいたそうで、そこで重要性を認識するようになったそう。

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「彼(心理カウンセラー)は練習を見て、我々にコミュニケーションの仕方を教えてくれた。そういう些細なことが違いを生む。選手たちが彼のもとに行くことに驚いた。なぜなら、冷ややかな目で見られ、おかしい人間だけが行くと思われていたし、強さを見せつけるマチズモがあったからね。我々全員に助けが必要なんだ」とも話している。

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