「逆転勝ちの経験が、次の逆転勝ちを生む」
そして、試合終了間際にコーナーキックから見事なヘディングを決めてみせた鈴木大誠選手は以下のように話していた。
「入った瞬間は…着地したときに『あ、なんか入ったな』みたいな…コースを狙った緩めのシュートで、打ってから入るまでに時間があったんですよね。ああ、入った…って感じでした(笑)。
この勝利はチームとして本当に上向きになる重要なものだと思います。今一番手応えがある部分は、試合の中でのペース配分というか…表現が正しいのかわからないですけど、自分たちがどこでパワーを使うかというところです。
シーズンの最初は試合の終盤でパワーが落ちてしまって、相手に押し込まれて、そして失点してしまうという試合が多かった。
ただ今日も含めて、90分のトータルでどうやってスコアで上回るかという点を、僕もかなり神経を使ってやっていますし、チーム全体でそれぞれの選手が考えています。それぞれが考えたことをすり合わせてコミュニケーションを取ったりするところは、手応えを感じていますね。
(フリアン監督が『弱みだったセットプレーとラストのゴールが強みになった』と言っていましたが、何か変化はあったんですか?)僕は、まだ強みになるには早いかなと思います(笑)。
でも足がかりにはなったと思います。リーグ戦の結果と同じで、ここから改善の兆しが見えてきたので、これから武器にしていくというところですね。継続してやっていきたいです」
さらに、2失点したあとに差を縮める勇敢なゴールを決めた西田恵選手はこのように試合を振り返っていた。
「(勇敢なプレーでしたが、体は大丈夫でしたか?)大丈夫です!肩を怪我しましたけど、腫れているだけなので問題ないです。
試合は入り方が悪くて苦しい展開だったんですけど、結果的に90分で勝てたことは良かったです。でも、やっぱり甘いですよね。試合への入り方とか。まだまだ改善しなければならないところだらけだと思います。
(ゴールの形は想定していた?)相手のラインが高かったので、背後は取れるなと試合中ずっと思っていました。ボールを持っているときにプレッシャーもなかったですし、走ればいいパスが来るんじゃないかなと。
何回かチャレンジしたらいいボールが来て、キーパーとどっちが触るか…という感じだったんですけど、うまくバウンドして止まってくれました。2点ビハインドから1点返せたのはメンタル的にも大きかったですし、そこで落ち着けました。
2-2に追いついたあとは、まだ同点ということもあって『追加点は90分の中で奪いに行こう』という意図はチーム内で統一されていました。ピンチもありましたけど、うまくゲームを運べたと思います。
でも、そのようなマネジメントもまだまだですね。立ち上がりの入り方なんて、自分たちで試合前に言っていたのにこうなってしまうので。まだまだ詰めが甘いですね」
そして、この試合でキャプテンマークを巻いてセンターバックを務めた小谷祐喜選手は、学生時代もJFL時代もJリーガーとしても天皇杯に出場した経験を持つ。奈良クラブの選手として大学生を相手に戦う試合のマネジメントについて以下のように話していた。
「学生相手に戦うにあたって考えていたのは、90分を通してどのように勝つかでした。
勢いに乗っている時間もあれば、ちょっと落ちる時間も絶対にある。落ち着いて試合を読みながらプレーしていました。それが前半に失点を重ねてからの持ち直しに繋がったのかなと思います。
失点した後は少しネガティブになったところもありましたが、プレーを落ち着かせる中で『まずはしっかり前を向いて1点取ろう』とメンタルを持ち直すことができました。それが良かったと思います。
このような逆転勝ちをすることによって自信がつきます。前の岐阜戦もそうですけど、だからこそ勝ち方を覚えていく。
苦しい時間帯があっても、1点を返して、落ち着いてプレーすれば追加点が取れる。それを経験値としてチーム全体で共有できる。この価値は本当に大きいなと思います」
「スペイン流育成」の工夫が満載!奈良クラブの新クラブハウスが『画期的なワケ』
現在J3では3勝6分5敗という成績で20チーム中17位と苦しい状況にある奈良クラブであるが、先週末のFC岐阜戦に続いての逆転劇が「大きな経験値になる」という。
奈良クラブはこのあと6月2日に最大のライバルであるFC大阪との「生駒山ダービー」を戦い、8日のSC相模原戦を経て、12日にカシマサッカースタジアムで鹿島アントラーズとの天皇杯2回戦に臨む予定だ。