EURO2024は15日、グループBでスペインがクロアチアと対戦し、3-0の勝利を収めた。

スペインは29分にアルバロ・モラタが決めて先制。その3分後の32分にはファビアン・ルイス、前半アディショナルタイムにダニエル・カルバハルが決めてリードを3点に広げる。

クロアチアは後半にアンドレイ・クラマリッチなどを中心として猛攻を仕掛けるも、ゴールは遠く、スペインが大事な初戦で勝点3を獲得している。

この試合のポイントは、中盤のポジションバランスである。

スペインは中盤3枚で、ロドリ、ファビアン・ルイス、ペドリが先発。対するクロアチアも3枚で挑み、マルセロ・ブロゾヴィッチ、ルカ・モドリッチ、マテオ・コヴァチッチを起用。どちらもワンボランチに2人のインサイドハーフという形で臨んだ。

クロアチアにとってはこのポジションを制圧されたことが痛手だった。彼らはフィールドの中央付近を起点として真ん中から崩し、敵陣奥深くまで入り込んでボールをサイドに散らし、チャンスを作るサッカーを展開することが多い。

しかし、この日はロドリが守備の時に少し高めのポジションを取ったことで中盤が塞がれ、ビルドアップのところでボールが詰まってしまい思うようなサッカーが展開できず。これがクロアチアの敗因であろう。

ただ、思うように動けない中で何度かいい場面は作った。2失点目の直後には繋いでブロゾヴィッチ、こぼれ球をロヴロ・マイェルが詰めるもサイドネット。41分にはクラマリッチがマイェルにボールを預け、マイェルの逆サイドへのクロスにヨシュコ・グヴァルディオルが合わせたが惜しくも枠から外れる。

56分には、崩してヨシプ・スタニシッチがシュートもマルク・ククレジャに弾かれ、こぼれ球に詰めたアンテ・ブディミルが頭で押し込もうとするもスペインの守護神ウナイ・シモンがセーブ。チャンスは作ったが、決定機を決め切ることができなかった。

後半から少しずつ安定はしてきていたものの、守備は試合全体を通してあまり安定しなかった。例として先制点のシーンを挙げる。

ククレジャのパスをロドリがワンタッチで落とす。このロドリのところにモドリッチ、コヴァチッチ、ブロゾヴィッチの中盤の3枚がいたことで、落としのボールをもらったファビアン・ルイスはフリーだった。また中盤3枚がつられてしまったため、モラタまでの縦のスペースがぽっかり空いてしまい綺麗なパスコースができてしまった。

ファビアン・ルイスがワンタッチで運んだ際にオフサイドポジションにいたモラタが戻り切る。この時モラタはセンターバックの2人の間に陣取っていた。そしてファビアン・ルイスから真ん中を割るスルーパスが出た時、モラタはフリーで走り出してボールを受け、そのままゴールに流し込んだ。

まず、このシーンはロドリの対応に行く人数に問題があった。ククレジャからパスが出てきた時にロドリのチェックにはコヴァチッチとモドリッチが少し距離を置いたところからチェック。この2人のポジション取りは悪くなかった。

ただ、ブロゾヴィッチが猛プレスをかけたのが良くなかった。ボールが少し長くなったのを見極めていたロドリは足を伸ばしてワンタッチで落とすことを早めに選択していた。また2人がロドリをチェックしていたため、そこでプレスをかける必要がなかった。

さらに、攻撃を止められてからのカウンターだったため、オーバーラップしていたグヴァルディオルは戻りきれておらず、ブロゾヴィッチが出てきたことでラミン・ヤマルのところまでフリーになっていた。

センターバックの距離感ももう少し狭めておいたほうが良かっただろう。センターバックのヨシップ・シュタロはモラタとニコ・ウィリアムスを見ながらの対応だったが、スタニシッチがウィリアムスの対応に行っていたためモラタに集中できる状態にはなっていた。

もう1人のセンターバックのマリン・ボングラチッチは走り出しのタイミングが合っていればモラタをしっかりと止め切れていたはずだ。次戦以降にしっかりと繋げてほしい。

スペインはファビアン・ルイスが光っていた。先制点の場面での縦のスルーパスの判断、2点目の切り返しと運び出し、そして守備の強度。どれをとっても完璧であった。

またラミン・ヤマル、ニコ・ウィリアムスのウィングはスピード感のあるドリブルで脅威となっており、次戦以降も期待が持てそうだ。

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ただ、心配なのは自ら交代を申し出て途中でピッチを退いたキャプテンのモラタの状態である。この試合も良い動きが見られていただけに離脱になると少し痛手だが、果たして状態はどうだろうか。

次戦、スペインはイタリア、クロアチアはアルバニアと対戦する。

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