総理大臣杯東北地区予選準決勝仙台大対東北大戦が6日に宮城・柴田町内で行われ、仙台大が延長戦の末に2-1で東北大を破って3大会連続37度目の総理大臣杯進出を決めた。
東北では絶対王者の仙台大は前半25分にFW福田拳龍(4年、柏レイソルU-18)が右足で先制するも、後半24分に東北大からゴールを許して延長戦に突入。延長前半2分にMF新谷一真(3年、尚志高)が決勝点を挙げて試合を制した。
この日センターバックとして先発したDF前田航星(2年、鹿島アントラーズユース)は正確なポジショニングと的確な読みで相手の攻撃の芽を摘み、高精度のロングフィードと精密なビルドアップで仙台大の攻撃を活性化。攻守において2年生ながら大きな存在感を見せた。
前田は「ミスから1失点してしまって難しい時間帯もあったんすけど、自分も含めて後ろの選手は個のところ自信があるし、セーフティーにはっきりプレーしていれば失点をしないだろうという自信があった。どれだけいい形で前につなげるかというところにフォーカスしてやるだけだった。
後方はそこまで焦ることなく延長になっても仕方ないと話していて、最後の延長30分までにゲームコントロールできた。
得点を取ることに関しては何個かチャンスだったのがあった中で、いつか相手も焦れてきてブロックが壊れるだろうというのは、自分の中にあったので、後ははっきり個のところで負けずに守るだけでした」と冷静に振り返った。
延長戦に入ると新谷が開始早々に決勝点を挙げてリードするも、最後まで諦めない東北大の粘り強い攻めに押し込まれるシーンもあった。延長後半には鋭いドライブ回転がかかったコーナーキックが仙台大ゴールに襲いかかるなど危険なシーンが散見されたが、前田やGK泉竜聖(4年、仙台大付属明成高)が冷静に処理して事なきを得た。
「東北大さんのキック精度がすごく良くて嫌なところに蹴ってきてた。そこに関しては竜聖くんが触ってくれてゴールにはならなかったんですけど、ああいう場面でしっかり味方を信頼して、自分はマークロックするところを練習でもやってるので練習通り出せたと思います」
仙台大は現在リーグ戦で3勝1分の4位と東北では敵なしの常勝軍団が首位を譲っている状況だ。昨季は宿敵の富士大が総理大臣杯で東北勢初となる日本一を達成するなど東北全体のレベルが上昇している。これまでほぼ負けなしを貫いてきた仙台大であっても油断のならない状況になってきたが、前田は冷静に勝ち抜くイメージを持っている。
「去年、今年と試合に出させてもらう機会が多くて、去年今年両方を経験してる中で、東北全体のレベルが上がっていると感じている。
リーグ戦にしろ、こういうゲームにしろ、簡単な試合はあまりないと自分の中で感じている。去年までは自分たちが圧倒してたくさんの点差をつけて勝つ試合が多かったんですけど、今年になってからは全体のレベルが上がってると思っているので、簡単にいかないんじゃないかなというのは自分の中でもあった。
焦ることなく最後にしっかり勝ち切れたっていうのは良かったかなと思っています」
5月末にアジア大学サッカートーナメントに臨むU-20全日本選抜に選出されたセンターバックに油断や慢心の文字はなかった。