EURO2024は今晩、いよいよ決勝戦を迎える。
EURO史上初の6戦全勝で決勝進出。2012年以来4度目の欧州制覇を狙うスペインと、苦しみながらも2大会連続の決勝進出を果たし、悲願の初優勝を目指すイングランドが対戦する。今回はこの試合を展望していく。
通算戦績はイングランドの14勝3分10敗。しかし、現在のチーム状況を見ればイングランドにとっては非常に厳しい試合になることは確かだ。
イングランドはポゼッションサッカーが基本。このサッカーをする上では、アーセナルに所属し、ここまで全試合に出場しているデクラン・ライスの存在が欠かせない。
彼は視野が広く、周りがしっかりと見えており、ボールを持った時に一旦チームを落ち着かせ状況を把握する能力に長けているため、ミスが少ないポゼッションサッカーをする上では欠かせない選手となっている。
ただ、中盤でパスを回すことができても、そこからの展開がなかなか見られないのが今大会のイングランドである。
ベスト16までは4-2-3-1のシステムで挑み、2列目は左にフィル・フォーデン、右にブカヨ・サカ、中央にジュード・ベリンガムを配置していたが、ベリンガムが比較的低いポジションを取ってビルドアップに参加するため、敵人奥深くでボールを回すことができずチャンスを作れずにいた。
その象徴的な試合がベスト16のスロバキア戦。この試合ではスロバキアに先制され、ビハインドで攻めなければいけない状況にあったが、統率されたスロバキアの守備陣がラインを引き上げたことでベリンガムやフォーデンが前めのポジションでボールを受けることが難しく、自陣でのポゼッションを余儀なくされ、勝ちはしたが非常に危ない試合であった。
この状況を見かねたギャレス・サウスゲイト監督はシステムを3-4-2-1に変更。ボールポゼッションに重きを置くチームがよく使うシステムで、シャドーの位置に入るベリンガムとフォーデンを中心とする中央突破を試み、ゴールに直結しやすいシステムを組んだ。
このシステム変更により前線でボールは回るようになった。だが、ロドリを中心とする堅い中盤を持つスペイン相手に中央突破で崩すのはかなり難しい。決勝ではサウスゲイト監督の攻撃面での戦術に注目だ。