明治安田J1リーグは週末に第26節が行われ、ヴィッセル神戸がアウェーで横浜F・マリノスと対戦し、2-1で勝利。7月5日以来の勝点3を獲得した。一方のF・マリノスは連勝が3でストップした。

試合を動かしたのはホームのF・マリノス。前半42分、天野純のコーナーキックにエドゥアルドがヘディングで合わせて先制する。

失点直後攻撃の手を強めた神戸は、前半アディショナルタイムに大迫勇也がペナルティエリア内で倒されPKを獲得。キッカーの武藤嘉紀がキーパーの逆をつく冷静なシュートを沈め同点に追いつく。

エンドが変わった後半、ボールを支配するF・マリノスに対して中盤でブロックを敷き、カウンターのチャンスを虎視眈々と狙っていた神戸。すると65分、広瀬陸斗の背後へのスルーパスに反応した武藤が相手のマークを剥がし、キーパーと1対1の状況を作り、ボディフェイクを入れてキーパーのタイミングをずらすシュートを決め切り逆転。

このまま試合は終了し、優勝争いに食い込んでいく上で貴重な勝点3を確保した。

直近の試合に比べるとかなり積極的に攻撃に出た神戸の作戦勝ちだった。

F・マリノスの攻撃の軸となるボランチの喜田拓也と渡辺皓太を封じ込め、ビルドアップを許さず、最終ラインでボールを持たせ続けることに成功。F・マリノスディフェンス陣はこの日ビルドアップの面でミスが目立っていたため、かなり前線の選手が圧力をかけていたのが分かる。

F・マリノスは中盤を潰されるとサイドにボールを逃しパスを繋ぐ傾向があるが、サイドにボールを逃がさせておき、中をしっかりと固めてパスコースを潰す守備の戦術を取り、後ろ以外にボールの逃げ道を作らせず攻撃の手数を減らした。

それでも、強力な攻撃陣を持つF・マリノスに崩されてゴール前に迫られる場面もあったが、センターバック2枚が粘り続けた。終盤に植中朝日にあわや同点弾というシュートも打たれたが、前川黛也が凌いだ。

この試合のキーとなったのが中盤の3枚、扇原貴宏、井出遥也、井手口陽介の位置関係である。自由に動き回ってゲームメイクができる天野や交代で入ってきたダイナモの西村拓真の対応には少し手こずっていた印象があったが、扇原を中心にダブルボランチを潰したことで良さを半減させることに成功。

攻撃の部分では背後のスペースを恐れ、ラインを低めにしていたところを見逃さず、井手口や井出がゲームメイクのセンスを見せ、武藤や大迫の持ち味を存分に引き出し、攻撃の中心となった。

この中盤の3人の働きが勝利を呼び込んだと言っても過言ではない。スコア以上の完勝であった。