【J2第32節ジェフユナイテッド千葉4-1レノファ山口FC、21日、千葉・フクダ電子アリーナ】

千葉は勝点1差で追いかけていた山口との決戦を制し、J1昇格プレーオフ(PO)圏内の6位に浮上した。大一番を前にしたスタジアムは試合前からボルテージ全開。千葉のサポーターは選手たちを乗せたバスを待ち構え、今季最大級の声援を送った。

とある古参サポーターは「きょうは一発目から声量がすごかった」と、自分たちの応援を振り返った。言わずもがな、選手たちもこの一戦の重要性は理解していたが、のどをからして出迎えたサポーターの姿が、選手たちの覚悟を一層強いものにした。

この日トップ下で先発出場し、リーグ戦26試合ぶりの得点に感情を爆発させたMF横山暁之(あきゆき)はサポーターへの感謝を口にした。

「バス待ちのときにチャントを歌ってくれたり、ウォーミングアップのときから僕個人のチャントをしてくれていて、とても後押しを感じました」

今季千葉に加入した横山は、シーズン中に何度も得意のドリブルとパスでチャンスに絡んでいたが、なかなか得点やアシストに結びつけられずにいた。背番号16は結果を出すための試行錯誤を続けていたが、チームは天皇杯ラウンド16のJ1北海道コンサドーレ札幌戦を機に、トップ下をMF風間宏矢へとチェンジ。チームはそこから4連勝を飾っていた。

「つらい時期ではあったと思います。人間なのでサポーターの声も気になりますし、結果によって気持ちが左右されてしまうこともありますね」と吐露した。

リーグ戦5試合ぶりのスタメン復帰となった横山のプレーを後押しするように、サポーターは「ヨッコヤマ!」の掛け声を大にした。

声援を受けたトップ下は相手の配置を見ながらピッチを駆け回り、フリーのスペースを見つけては顔を出し続けていた。前からはめようとしてくる山口に対して、背番号16の動きは効果的に働いた。

「ロングボールだけにならず、下からパスを繋いで前進した方がチャンスを多くつくれると思っていたので、相手のボランチとの駆け引きを意識して動き続けました」と、テクニシャンが見せた献身性に、ゴール裏は沸いた。

ビルドアップでチームに貢献した横山は、チャンスメイクでも違いを生み出した。ピッチ中央でボールを受けると、すぐに反転。これまでであればドリブルによる前進を試みていたテクニシャンが真っ先に探した場所は、この日ハットトリックを記録し、J2得点ランキングトップに躍り出たFW小森飛絢(ひいろ)の位置だった。

「自分が1番手ごたえを感じた部分は飛絢との関係です。彼には、僕が前を向いたときは落ちてこないで、裏に抜けてほしいと伝えていました。ただ押し込むだけではなくて、二人だけで攻撃を完結できればいいですし、きょうもカウンターのときに何本かいいスルーパスを出せました」と、エースとの相性に自信を深めた。