残り6試合

待望の瞬間は、後半6分に訪れた。

前半までは中継役としてバイタルエリア付近でのプレーが多かった横山が、“ここぞ”とばかりにゴール前へ侵入した。

背番号16が空けたスペースは攻撃の起点となった。ゴール前中央でボールを受けたDF小川大貴が、ポケットに向かって走るMF田中和樹に絶妙なスルーパスを送った。そのままダイレクトでマイナスぎみに折り返されたボールを、横山は左足でネットに突き刺した。

「左サイドからうまく突破してくれて、自分もゴール前に入っていけました。飛絢がこぼれ球からよく点を取りますが、あの才能を見ていると、自分もゴール前から常に足を動かしてやり続ける必要があると思っていました」と、エースのプレーが参考になったと明かした。

千葉で「圧倒的な存在になる必要がある」と語っていた漢が、仲間たちの力を借りて結果を残した瞬間だった。横山はゴールを決めるとそのままサポーターが待つゴール裏へまっしぐら。スタンドとピッチを隔てる高い壁をものともせずに、ゴール裏最前線で応援していたファンに向かって歓喜のジャンプをした。

「思わずやってしまいました。(ゴール裏付近の溝に)落ちそうでしたけど(笑)」と、背番号16の気持ちのいい笑顔がはじけた。

今季残り6試合。トップ下を務める横山は、16季ぶりのJ1復帰に向けてサポーターに団結を呼びかけた。

「残り6試合。うまくいかないこともある。きょうだって、そんな時間があった。でも僕たちはチャレンジャーなので、リスクを冒して挑戦し続けます。失敗もあるかもしれませんが、チームの一員であるサポーターにはネガティブな発言ではなくて、きょうみたいな鼓舞する声を届けてほしい」

大勝の翌日にクラブが風間宏矢の離脱を発表した。背番号8は左アキレス腱断裂により約6か月間ピッチから遠ざかる予定であり、今季中の復帰は絶望的だ。

それでも同じトップ下を務める今季千葉に加入した漢は、残り試合でやるべき仕事を理解している。

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最後の正念場だからこそ、選手たちがチャレンジできる環境をつくりたい。「みんなでカバーをし合おう」と意気込んだ横山は、千葉のサポーターが持つ力の大きさを感じている。16季ぶりのJ1復帰に向けて、過去最高の「WIN BY ALL」が必要だ。

(取材・文 浅野凜太郎)

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