25日に行われた天皇杯準々決勝、横浜F・マリノスはレノファ山口FCを5-1で破り、準決勝へと駒を進めた。

J1とJ2の対戦。しかもACLEによる過密日程のため、横浜FMのホームであるニッパツ三ツ沢球技場で行われた一戦だったが、最終スコアが表すような簡単な試合ではなかった。

横浜FMは16分に山根陸のミドル弾で先制したものの、23分に山口の奥山洋平が同点弾を奪取。しかもそのゴールは、ベテランGK飯倉大樹がボールの処理を誤り喫したものだった。

「J1相手だったらまた全然違う展開になっていたと思います。ただ、連敗をしていたチームが一つ勝つことでまた良い流れに戻れたらいいなと。そういう意味で、カテゴリーとは関係なく勝てたことはよかったかなと思います」

試合をこのように振り返った飯倉。失点につながった自身のミスに尋ねられると、表情を変えずに以下のように話した。

「普通にバウンドが変わりました。言い訳ですけど、それはそれで別に可もなく不可もなく。問題のあるミスではないですし、個人的にただミスをしただけなので、何の問題もないと思います」

横浜FMは、9月4日の北海道コンサドーレ札幌戦(6-1勝利)で飯倉が負傷離脱して以降ルヴァンカップやリーグ、ACLで4連敗。しかもここ2試合は大量失点しており、飯倉にとっては難しい状況で迎えた復帰戦だった。

この間、チームに足りなかったものは何なのか…。今年38歳になったベテランGKは山口戦で心がけていたこととして、「どんな状況であっても、自分はしっかりと後ろで堂々といることが大事」と語り、こう続けた。

「やっぱり、ちょっとしたミスや不運な出来事によって、チームのやるべきことや方向性がネガティブなほうに行ってしまいがちです。それは経験のなさだったり、強い気持ちのなさだったりだと思います。そういう意味では、僕はミスをしましたけど、勝てば何の問題もないだろうという気持ちでずっとプレーしていました。外から見ていてそれが今は必要かなと思っていました。今日は相手のカテゴリーが違いますけど、そういうことを若い選手というか他の選手を見せられたことは良かったんじゃないかなと思います」

今季まだすべての大会で勝ち残っている横浜FMは、今後も連戦が続く。どうしても疲労は溜まり、今回のような失点につながるミス、あるいはこの試合36分にジャン・クルードがラフなタックルで一発退場したようなアクシデントも出てくるだろう。

しかし、終わってみればスコアは5-1。横浜FMが後半に4得点を奪って勝利し、10月27日(日)の準決勝ではガンバ大阪と対戦する。この事実に揺るぎはない。

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「ミスは絶対にありますし、ミスをして失点しましたけど、結局勝てるか勝てないかはその振る舞いによるところが大きいんじゃないかなと思います」

復帰戦でチームにきっちりと結果をもたらした守護神の目には、いつもと変わらない輝きが宿っていた。

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