[J2第33節いわきFC 0-0 栃木SC、9月29日福島・ハワイアンズスタジアムいわき]
チーム初のJ1昇格プレーオフ(PO)進出を目指すいわきにとって手痛いスコアレスドローとなった。ゲームは前半から栃木の素早いプレスからカウンターで押し込まれ、ロングスローやセットプレーから被シュート9本を受けた。後半はいわきが主導権を握るシーンもあったが、先制点は遠かった。
得点王争いの谷村に指揮官がかけた言葉とは
「自分が決めれば勝てたんじゃないですかね…」
今季リーグ戦17ゴールで得点ランキング2位のFW谷村海那は表情を曇らせていた。この日両チーム最多のシュート3本を打つなどチームの攻撃をけん引したが、相手の激しいマークや素早いリトリート(守る選手が守備位置に戻るプレー)でゴールを阻まれた。
栃木の小林伸二監督は谷村らいわきアタッカーの決定力を警戒しており、誰が守備時にチャレンジに行くのか明確にして守るトレーニングに励んで対策を取っていた。「(谷村は)能力が高くて相当点を取っていますけど、うまく防げたんじゃないか」といわきの攻撃陣を完封してみせた。
21ゴールで得点ランキングトップを走るジェフユナイテッド千葉FW小森飛絢(ひいろ)と得点王争いをしているが、谷村は3試合ゴールが遠ざかっている状況だ。いわきの田村雄三監督はチームトップスコアラーにある言葉をかけた。
「(前節)小森選手がハットトリックをして(得点ランキングの)順位が変わった瞬間に、彼に『焦る必要はないぞ。力を抜いてやったらいいよ』と連絡しました。PKを蹴る選手を私が指名しているので、『もしPKを蹴りたかったら俺に言ってこい』と言ったら、『PKは蹴らないです。そこはプライドが許さないです』と言ったので彼もそういう気でいます」とやり取りを明かした。
この日もいつも通り勇猛果敢にゴール前へと攻め込んだ谷村。時折泥臭く守備を献身的にこなしながら、チームが設定するタスクをサボらない。勝利にも、得点にもどん欲な背番号17の信頼は揺るぎないものだ。
「もしかしたらきょうも力んでいたかもしれないですけど、(得点王を)取れるかなと思っています。十分結果を残しているし、J2の中で名前も知れたし、みんなが注目する選手だと思う。それは事実だから、力を抜いてくれるようにと会話しました」とエースストライカーに信頼を寄せた。