[J2第37節ジェフユナイテッド千葉1-2V・ファーレン長崎、3日、千葉・フクダ電子アリーナ]

千葉は1-2で痛恨の敗戦を喫したが、DF山越康平は課されたミッションを全うした。

リーグ戦10試合ぶりのスタメン出場を果たした背番号3番は「監督は力があれば出してくれる」と言葉通り、小林慶行(よしゆき)監督からの信頼を前節藤枝MYFC戦(途中出場)で勝ち取った。

今夏にJ1東京ヴェルディから期限付き移籍でやってきた山越は、ディフェンスラインに負傷者が続出する中で助っ人としてチームの守備を支えてきた。そしてこの日、とあるミッションを背番号3は与えられた。それは長崎MFマテウス・ジェズス(以下M・ジェズス)を止めること。

今夏にJ1東京ヴェルディから加入し、練習でアピールし続けてきたDF山越康平

小林監督は山越の起用について「きょう、彼がピッチに立っていた役割は明確で、そこ(M・ジェズス)に対して勝てるかどうか。跳ね返せば大きなチャンスになる確率が上がりますし、収められてしまえば自陣深くまでいかれてしまう確率が上がっていた」と攻守の要だったと説明した。

リーグ戦35試合出場16得点を記録し、長崎の攻撃をけん引してきた助っ人外国人は、この試合でも先発出場。千葉の最終ラインでは、両チームの“助っ人”が火花を散らした。

マンマークにも近い対応を求められた背番号3だったが、試合序盤は競り合いで負け、スピードで抜かれてしまうシーンも少なくなかった。

山越は「(M・ジェズスに)最初の方はキープされてしまった。単純に当たりに行ってもビクともしませんし、懐が深くて腕のパワーもすごく強い。いままで通りの対応では取れない感覚でした」と、リーグ屈指のアタッカーに苦戦を強いられたと明かした。

長崎は前半4分に奪った先制弾以降もM・ジェズスを中心に攻撃を緩めなかった。一つ対応を間違えればGKと1対1の状況をつくられてしまう。その緊張感の中、千葉は1-1で試合を折り返した。

MFマテウス・ジェズス(左)、DF佐々木翔悟(右)

前半終了時点では、この対決の勝者は長崎の助っ人外国人だった。それでも山越は試合のキーポイントである『M・ジェズス係』を他の誰かに任せようとはせずに、「1対1が自分の持ち味ですし、気持ちでは絶対に負けない」と自らを奮い立たせた。

すると後半、31歳のベテランは徐々にブラジル人アタッカーを攻略していった。両者が面と向かって相対するシーンこそ少なかったが、ロングボールからの競り合いで山越は強さを発揮。激しいボディコンタクトから相手の上を取ると、ヘディングでボールを叩いて、チームの攻撃につなげた。

「(フィジカルが)強すぎたので、途中から『ファウルをしてもいい』くらいの気持ちでいきました。そこでいい感覚というか、アジャストできたので、最初からそれをやれていればなと思いました」

途中、相手背番号6が山越の相方DF松田陸の方に流れるシーンもあったが、「そのまま俺がついてもいいという判断を監督から言われていました。感覚が良かったからそのままいきました」と背番号3は最後まで戦い抜いた。

長崎は後半17分にFWエジガル・ジュニオを投入し、同選手を最前線に配置。二人のブラジル人選手と身体をぶつけ合った男の右まぶたは、赤く腫れあがっていた。

敗戦後、小林監督は東京Vから来た助っ人の奮闘について「山越のプライドだと思います」と称賛。ベテランにとっても『自信になった』試合だった。

それでも山越は「勝たなければ意味がない。どんなにいいプレーをしても、サッカー選手は勝たなければ評価されません」と悔しさをにじませた。

千葉は10日午後2時にアウェイ・NDソフトスタジアム山形で、モンテディオ山形とJ2最終節を戦う。両者にとって、勝てばJ1昇格プレーオフ進出が決定する大一番だ。

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「下を向く必要はない。人生を懸けるくらいの試合だと思うので、チーム一丸となって戦いたい」とベテランの決意は固まっている。千葉よ、山形を越えてゆけ。

(取材・文 浅野凜太郎)

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