ガムを噛むとスポーツ選手としての能力向上に役立つようだ。
株式会社ロッテは14日、サッカーJ2・鹿児島ユナイテッドFCと協力し、「ガムを継続的に噛むトレーニング」による口腔機能・運動機能への影響を検証した結果を発表した。
この実験は、スポーツにおける「噛むこと」の価値を発信する「噛むスポプロジェクト」活動の一環として行われたもの。
1年間に及ぶ検証の結果、「左右の咬合バランスが改善し、垂直跳び、静的バランス機能が向上したことを確認した」としている。
この結果について、東京歯科大学口腔健康科学講座スポーツ歯学研究室の武田友孝客員教授(歯学博士)は、以下のようにコメントした。
「選手が意識して、左右の偏りなくガムを噛んだことにより咬合バランスが改善したと考えられます。さらに咬合バランスが良くなったことで、身体重心が安定し、静的バランスの向上につながったと思います。
一方、瞬発的な遠隔部の筋活動に咀嚼筋が関与していることが知られています。今回、咬合状態の改善が認められていますので、跳躍時の咀嚼筋活動が変化したことで垂直跳び向上という結果につながった可能性があります。
これらの結果から、噛むことによって、スポーツにおけるバランス感覚や運動機能が向上し、良いパフォーマンスの発揮に期待できます。けがなく、試合中にパフォーマンスを最大限に発揮するためにも、運動機能向上の一助としてガムを噛むことがおすすめです」
また、武田客員教授は、「サッカーのシーン別におけるガムを噛むことのメリット」を以下のように解説している。
ガムを噛むことで緊張が緩和され、脳を刺激することで判断速度の向上が期待できるとか。
また日常的に噛むことで瞬発力やジャンプ力の強化、ケガの予防につながり、ヘディングやハイボールのキャッチに効果が期待できるのだという。
武田客員教授は、ガムの噛み方のポイントについても説明している。
「あまり知られていないかもしれませんが、スポーツには噛むということが非常に重要です。適切なタイミングで適切に噛むことでパフォーマンスが変わってきます。筋力トレーニングだけではなく、ガムを使った噛むトレーニング(ガムトレ)も是非取り入れていただきたいです。ガムトレには、歯の健康のことも考えてシュガーレスタイプのガムを選ぶことをお勧めします。
また、口をしっかり閉めて噛むことはマナー面に加え、口を閉じる筋肉の運動になります。口まわりの筋肉が緩み口呼吸が増えるとお口の中が乾燥しやすくなり、口臭やむし歯などの健康上のリスクにつながる可能性も高まってしまいます。
ガムを噛むときにはしっかりと口を閉じて噛んでいただきたいです」
■実証実験概要
【実証実験目的】
①ガム咀嚼トレーニングによる口腔機能への影響検証
②ガム咀嚼トレーニングによる運動機能への影響検証
【研究方法】
・対象
鹿児島ユナイテッドFC選手 22名
・介入方法
①噛むこと啓発講義
②1日3回、左右5分ずつを目安としたガム咀嚼トレーニング
・介入期間
2023年5月~2024年5月
・評価項目
咬合力(GC® デンタルプレスケールⅡ)、静的バランス、垂直跳び
・結果
介入により、咬合力に有意な変化は認められませんでしたが、左右の咬合バランス差は有意に減少し、咬合バランスの改善が認められました。また、運動機能においても、垂直跳び、静的バランスの有意な改善が認められました。
▼『噛むスポプロジェクト』の実施チーム、アスリート、団体一覧
千葉ロッテマリーンズ/川崎フロンターレ/ジュビロ磐田/レバンガ北海道/レッドイーグルス北海道/千葉ロッテマリーンズ・ベースボールアカデミー/ゴルフ(池田勇太プロ・中嶋常幸プロ・高柳直人プロ・西脇まあくプロ・トミーアカデミー)/スキー/eベースボール千葉ロッテマリーンズ/日本スポーツ協会/NSGグループ等
鹿児島ユナイテッドFC、一年でのJ3降格を余儀なくされた「3つの要因」
なお、検証に参加した鹿児島ユナイテッドFCは今季のJ2で19位となり、J3への降格が決まっている。