[天皇杯ラウンド決勝、J1FC町田ゼルビア 3-1 J1ヴィッセル神戸、11月22日、東京・国立競技場]
町田は決勝で前回大会王者の神戸に勝利して、天皇杯初優勝を成し遂げた。
この日、3バックの一角で先発した元日本代表DF昌子源主将は、落ち着いた守備対応で神戸の強力攻撃陣を抑え込んだ。
町田のクラブ史上初の天皇杯制覇に貢献した昌子が決勝を振り返った。

「神戸さんが相手やったから…」
町田は最高の立ち上がりを見せた。
前半6分、町田は左サイドを突破した日本代表MF中山雄太のクロスから、中央にポジションを取ったFW藤尾翔太がヘディングで合わせて先制に成功した。
昌子は前半を振り返り、「(黒田)監督が『この15分で絶対にゲームが動く。必ず動く。それは先制点かもしれないし、(点を)取られるかもしれないけど必ず動く。それに動揺することなくやること。この15分が試合の残りを決めると言っても過言じゃないから』って言っていて、ほんまに動いたので、試合中ですけど、ちょっとびっくりしました」と、黒田剛監督とのエピソードを明かした。
さらにたたみかける町田は、同32分にオーストラリア代表FWミッチェル・デュークが相手DFの背後へ対角線のボールを供給。抜け出した日本代表FW相馬勇紀がGKとの一対一を制して追加点を挙げた。

なんとか足にボールを当ててクリアする昌子(写真中央右)
後半は2点を追う神戸が攻勢を強め、町田は押し込まれる時間が続いた。
それでも後半11分に、藤尾がこの日自身2点目となる駄目押しゴールを決めて町田が3点リードとした。
その後、相手に1点を返されたが、最後まで集中力を切らさなかった町田が前回大会王者を破ってクラブ史上初の国内3大タイトルの一つ、天皇杯を手にした。
町田の背番号3は「この一つ目を取るって、本当に難しいことやと思います。チームとしても相当な覚悟を持って挑んだ一戦だったのでよかったです」とよろこびを噛みしめた。
また、苦しい時間も集中力を維持して守り抜けた要因の一つに、対戦相手である神戸の存在があったという。
「横綱として存在感を放ってきた神戸さんが相手やったから、僕らもぶつかり抜けたんじゃないかと思う。本当にリスペクトしています。(神戸は)最近1回目のタイトルを取って、それでもこういう存在でいる。僕らが目指すべきところの上にいるチームやと思う。きょうは勝敗がついてしまいましたけど、神戸という相手と決勝で戦えたのは、僕ら町田にとってかけがえのないものやったんじゃないかなと」
クラブに初の国内3大タイトルの一つをもたらした男の表情は自信に満ちていた。
