メジャーリーグサッカー、年々進化する契約システム

2012シーズンが始まって早1ヶ月、19番目のチームとしてモントリオール・インパクトが加わるなど変革、進化が止まらないMLS。

先のニュースで元イタリア代表DFネスタのMLS入りの可能性について述べたが、仮に移籍することになれば“特別指定選手”としての契約になると見られている。

特別指定選手とは2007年に新設されたルール。当該の選手は全てリーグ統括組織の所属となり、そこからクラブチームに派遣されるシステムである。

MLSの各クラブは、年俸総額約265万ドル(毎年5%上昇している)、また一選手の給与が40万ドルを超えてはならないというサラリーキャップ精度が設けられている。

かつて存在した北米サッカーリーグ(NASL)が、年俸の高いスター選手を次々に獲得したあげく財政破綻を起こし、リーグ自体が消滅したという歴史の反省から作られたものだ。

しかし、このために年俸の高いスター選手を獲得することができず、デイヴィッド・ベッカム獲得を期に、各クラブ2名までは給与の上限を超える選手を保有できる制度が作られた。

これにより、ベッカムは上限の枠を超えた年俸に加え、自らのグッズ売り上げ等の増加によって、最高900万ドルまで給与を受け取ることが可能に。実際、2011シーズンは約550万ドルで契約、最終的に約650万ドルを受け取っている。その額、実に規定の16倍。

そんな夢のある特別指定選手に今シーズン加わった選手は以下の7名。

名前 Pos国籍所属先前所属
シャーリー・ジョセフ MF グレナダ代表 NEレボリューション 同左
クリス・ボイド FW スコットランド代表 ポートランド エスキシェヒルスポル
ハムディ・サリヒ MF アルバニア代表 D.C.ユナイテッド ラピド・ウィーン
バリー・ロブソン MF スコットランド代表 バンクーバー(*7月より) ミドルズブラ
マウロ・ロサレス FW アルゼンチン代表 シアトル・サウンダーズ 同左
ブレーク・シェイ FW アメリカ合衆国代表 FCダラス 同左
ハビエル・モラレス MF アルゼンチン代表 レアル・ソルトレイク 同左

ベッカム獲得後も毎年ルールは改訂されており、現在はより柔軟なシステムに変更しているのが特徴だ。今シーズンからは若手選手に対しての取り決めがより細分化されている。

上記の表を見て分かるのが、スター選手以外のケースが増えていること。ジョセフやロサレスは既にMLSに所属していた選手で、活躍して昇給を勝ち得た形だ。逆にダラスの特別指定選手だったコロンビアU-20代表FWファビアン・カスティージョは、今季から通常の契約へと変更になっている。

現在の問題点としては、どうしても華のあるFW、MFの選手が大半になるということだ。

守備の選手はフランク・ロスト(元ドイツ代表/元シャルケ04)、ラファエル・マルケス(メキシコ代表/元バルセロナ)の2名とわずか。仮にネスタが移籍するのであれば、システムに一石を投じ、さらなる進化を引き起こす可能性があるだろう。

(筆:Qoly編集部 Q)

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