しかし、世代交代を進めるには明らかに時間が足りない。2010年にカメルーン代表監督を務めていたポール・ル・グエンばりのギャンブルを打たない限り、2、3人が入れ替わる程度に過ぎないだろう。おそらく、世代交代の目標となるのは、2015年に地元で行われるアジアカップになるはずだ。
とはいえ、その「馴染みのメンツ」にしても、このところは難しい状況になってきている。

大きなポイントは、マーク・シュウォーツァーの代表引退、一向にクラブレベルでプレーできない主将ルーカス・ニール、二重契約問題で長期の出場停止となったマーク・ブレシアーノ、そして怪我人の続出という4点である。

シュウォーツァーが抜けたGKについては、才能ある若手が控えている。ドルトムントでサブを務めるランゲラクがより有名であるが、今季初の欧州進出でクラブ・ブルージュのレギュラーを奪ったマシュー・ライアンも素晴らしい能力を持つ。

少なくとも技術面では大きな穴にはならないはずだが、いきなりの大舞台で彼らの若さが仇となる可能性は低くない。

昨年大宮アルディージャに所属していたことで知られるルーカス・ニールは、現在プレーするクラブを失っている。彼は2012年にアル・ジャジーラを退団して以来、代表を除けば1年半で16試合しかプレーしていない。

そのため彼の必要性については大きな議論となっているが、精神的な支柱としての存在感は未だに大きく、彼に代わるストッパーがいるか? というと、なかなか「これだ!」という名前を挙げられる人は少ないだろう。

若いトレント・サインズバリーやライアン・マッガワンが世代交代という理由でポジションを与えられない限り、ニールのポジションは失われないのではないか。ということは、もしこの冬にニールが所属クラブを見つけられなければ、主将が試合感を失ったまま本大会に臨むことになるのだが……。

そして、パルマで中田英寿選手とともにプレーしたことでも知られているマーク・ブレシアーノは、2012年夏にアル・ナスルを退団した際、移籍元との契約が残っているにも関わらずアル・ガラファに入団。FIFAの規約で禁止されている二重契約が発覚したことで、4ヶ月の出場停止処分を受けていた。

3月13日に彼の処分は終了するものの、カタールリーグは4月11日に最終節を迎えるため、ワールドカップまでわずか4試合しかアピールのチャンスはない。果たしてそのような状況の選手を監督は招集するのか?出場したとしても良好なパフォーマンスを出せるのか? ポステコグルー監督にとっては難しい選択だ。

少なくとも、彼の代わりにアーロン・ムーイ(ウエスタンシドニー)やルーベン・ザドコヴィッチ(ニューカッスル・ジェッツ)、代表経験はないもののポステコグルー監督が寵愛してきたリー・ブロクサム(メルボルン・ヴィクトリー)あたりが選ばれても不自然な状況ではないだろう。