ユニフォームに使う書体というのは非常に難しい。初期は手縫いのオリジナル文字であったが、サッカーが日本でも知られる様になった90年代では世界各国で実際に使われているものを参考にユニフォーム店などが似たものを自作し貼り付けるというのが主流であった。

例えば、「アルゼンチン90年代型」「イタリア94年型」とか何通りかのパターンがあり、当時は有名書体を使っているチームが多かった。そのために、フォントさえもっていればコピーもたやすかった。何よりオフィシャルで実際に使われているユニフォームの背番号はほとんど販売されていなかったのだから、専門店は自作するしか策がなかったのだ。

90年代までによく見られたフォントたち(ガスコインのイングランド(上)、マラドーナのアルゼンチン(下))、当時は元になるフォントは違えど、この様な文字を囲ったデザインが主流だった。マラドーナといえばこの書体を思い出すオールドファンも多いだろう。

ところが、世界的にサッカーユニフォームが売れ筋商品になると、メーカーはコピー商品に悩まされる様になる。その解決策として「フォントの工夫」が生まれ、進化の道をたどることになる。