宮市が所属するトゥウェンテはオランダ1部エールディビジのクラブである。オランダではアヤックス、PSV、フェイエノールトに次ぐ規模のクラブであり、優勝を争う強豪へと成長した。 2009-10シーズンにはスティーヴ・マクラーレンに率いられ史上初となるリーグ制覇を達成している。

そんなトゥウェンテは近年、将来性豊かな若手の育成から3強で伸び悩んだ選手の“再生工場"としても知られている。ここで宮市はカスタイニョスやモコチョ(共に元フェイエ)、エビシリオ(元アーセナル)ら、かつて自身とプレーし、同じくビッグクラブで挫折していた選手達と再会を果たしたのであった。

そうした馴染みやすい環境に加え、4-3-3で両翼をめいっぱいに広げ、個人での勝負を重んじる典型的なオランダ・スタイルを採用するトゥウェンテは宮市にとって絶好の舞台とも言え、加入後すぐに起用される運びとなる。マヌエル・コロナ、ユネス・モフタルとのポジション争いとなったが、小柄ながら驚異的な対人テクニックを持つコロナがメキシコ代表へ上り詰めるほど結果を残して右サイドを確保していくなかで、宮市はモフタルと左サイドで競争することになる。しかし、宮市に待ち受けていたのはあまりにも残酷な現実だった。

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