「ラキティッチの長いフリーラン」の多用は、マンチェスター・シティの中盤の切り替えが遅いことを狙った1つの策だった。得点を取るために攻撃的に振る舞いつつ、4バックで3トップを抑え込むことを狙ったマンチェスター・シティにとっては、+1となるアタッカーの走り込みは大きな負担となった。

実際にこの場面でも解るように、試合全体を通してラキティッチの走り込みをどうやって抑えるかという部分は徹底されていない。

そして、ネイマール、スアレス、メッシという世界最強クラスの3トップが見せた連動しての死角攻略も見逃せない。

基本的に、世界最高のドリブラーであるメッシがボールを運ぶ役割を担い、スアレスとネイマールが連動した動きでDFの死角を作り出すことになる。

先に相手DFの裏側を回り、右に流れるような動きを見せるスアレス。

瞬間的にオフサイドではあるが、ドリブルでメッシが時間を作ることでボールを受けることが出来るということで、DFの意識はメッシを視認しつつスペースへと向く。

特にサニャは、ネイマールをマークしつつも、ボールを確認しなければならない。全速力で戻りながらということもあって視界はどうしても限られてくる。

そこで、ネイマールが絶妙に外にコースを変更。真っ直ぐ走り続けると思っていたサニャは、瞬間的に死角に回り込まれてしまっている。

それに加えて、ボールを保持していたメッシが絶妙なアウトサイドでのパス。インサイドでのスアレスの走り込むスペースへのパスを見せて駆け引きしたことで、デミチェリスのカバーが難しい状況になっている。

このように、メッシのボール運びで相手の意識を引き付け、ネイマールとスアレスが華麗な連動で切り崩していくパターンは少なくなかった。

そして、これまでのバルサで前線を担った選手達と比べても、この2人は相手の「死角」を突く意識が非常に強い。

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