今回の予選での戦い

6月に行われた2試合では日本人の小原一典監督がチームを率いて、前線が極めて流動的な3-3-3-1、あるいは3-3-2-2というか、なんとも掴みにくいシステムを構築していた。

3バック自体は2014年末に行われたスズキカップを目指してイ・テフン体制下で採用されたものであるが、前線の流動性については小原氏が導入したと考えられる。

ところが、初戦となったシンガポール戦では、マイボールになればそこそこ面白いプレーが出来る反面、守備は崩壊。クロスボールやスルーパスへのマークが安定せず、セットプレーではほとんどシンガポールがボールを触るような状況だった。緩慢なディフェンスで4失点を喫し、大敗している。

その反省を持って5日後に迎えたアフガニスタン戦では、チームは大きく進歩。攻撃面ではやや魅力を失った感はあったが、セットプレーのマーク、ドリブルへの対応も改善され、体を張った守りを見せた。

攻撃を薄くした分、前線に配置されたコーン・ラボラヴィ、ケオ・ソクペン、クーチ・ソクンペアの3名はポジションなどあってないような形で動き、流動的にプレーした。

その結果終盤までアフガニスタン相手に堪え忍ぶことに成功したのだが、86分にムスタファ・ザザイに得点を決められ、惜しくも勝ち点1獲得を逃している。

8月20日にはブータンとの親善試合を行い2-0と勝利を収めている。筆者は幸運にもその映像を視聴することが出来た。

(Qolyコラムニストの中西さんから教えて頂きました。感謝いたします)

暫定的にチームを率いていた小原氏は既に退任しており、監督にはイ・テフン氏が復帰。それもあってか、攻撃面はこれまでの2試合よりも縦に速くなっているようだ。

相手が東南アジアでも最弱クラスのブータンということは、日本戦とは全く立場が違う状況になるわけで、なんとも評価しづらいところはあるのだが……とにかく小原氏体制よりもカンボジアらしさが出ているといえる内容でもあった。

(※現地のカンボジアン・タイガーFCで働いているぴろぽんぴん氏がこの試合を現地で観戦され、レポートをブログに掲載されています。よろしければそちらもご参考になさってください)

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