この時試合はインプレーであった。

にもかかわらず、39分の到来を観客席の拍手で知った選手たちはプレーをやめ、試合中にもかかわらず犠牲者に対して敬意を表した。

ボールを持っていたヴェルトンゲンはボールを置き、イタリア代表の指揮官アントニオ・コンテは胸で静かに十字を切った。両チームのベンチに座っていた選手も一斉に立ち上がり拍手を送っている。

かつて、試合中にもかかわらずこれほどまでにスタジアムが一体となって死者を追悼したケースがあっただろうか。それほどまでにこの試合が行われた意味は大きく、そのことをスタジアムにいた全員が理解していたのだろう。サッカーより大切なものが、そこには確かにあったのだ。

選手たちはおよそ30秒間プレーをやめ、その後拍手に包まれながらプレーを再開している。今後、また定期的にこのスタジアムで両者による試合が行われるかもしれない。

唯一残念だったことは、この拍手とほぼ同時刻にブリュッセルからおよそ260km離れたパリで悲劇的なテロ事件が起きてしまったことだ。

この拍手が確認されたのは、日本時間14日(土)午前5時24分頃。パリのスタッド・ドゥ・フランスで銃声が響き渡ったのは同14日午前5時15分過ぎであり、その時刻はほぼ同時刻であった。

こうした美しい光景の裏で、あのような悲惨な事件が発生したというのは不運というしかなく、怒りすら湧きあがってくる。

その後、フランスでのニュースが世界的に伝えられこの試合が大きくクローズアップされることはなかったが、一人のサッカーファンとして、ブリュッセルの地でこのような心温まるシーンがあったことをここに記録として残したい。

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