待っていた「試練」…メンバー外、OG、ダービー2失点

昨季、栃木でプレーしていた鈴木海音は[3-4-2-1]の右CBに定着し、J2リーグ34試合に出場。チームは17位に終わったものの、失点はリーグで3番目に少ない40失点。堅守確立に貢献していた。

「栃木ではプロになって初めて1年を通して試合に出続けるという経験ができました。90分を通した試合運びを考える中で、インターセプトを狙って前に潰しに行ける場面や範囲、ビルドアップの部分でも通用するところと、しないところが明白になりました。

3バックの右CBは前へ上がって行ける回数も多いので、積極的なトライができるという部分を楽しんでやれていました。自分たちがボールを保持できる時間(昨季の栃木のボール支配率はリーグ20位の42.4%)はそう長くはなかったのですが、だからこそボールを奪われないためにどうするのか。FWへの縦パスを入れる角度を作るためには、ポジショニングや体の向きから考えていかないといけない。試合の中で出来ることを整理し、出来ないことを修正していく。そんな過程を経て、すごく成長できた1年になったと思います」

しかし、ジュビロへ復帰した彼を待っていたのは、「試練」だった。

今季の目標に「全試合出場」を掲げたものの、開幕戦から出番なし。第2節からはメンバー外も経験した。ベンチ入りした開幕戦では5人の選手交代が終了して以降も、「ルール上は脳震盪による交代の可能性もある。あのまま突っ立ってるだけでは悔しいだけ」と、ウォーミングアップを続ける姿を見せるなど、いきなり我慢の時を迎えた。

「ベンチもメンバー外も一緒」と考えていた彼が、今季初めて公式戦のピッチに立ったのは、YBCルヴァンカップのグループA第1節・横浜F・マリノス戦。昨季のJ1王者は主力級のメンバーで挑んで来た。現在J1得点ランクの首位に立つFWアンデルソン・ロペスらと対峙しながら、「J1王者を相手にも自分の持ち味が出せた」試合は、チームとしても攻守にアグレッシヴなサッカーを体現できていた。しかし結果は、自身のオウンゴールによる失点で0-1の惜敗を喫した。

今季J2初出場となった静岡ダービー。昨季のJ1得点王チアゴ・サンタナとも対峙。 (写真提供:ジュビロ磐田)

そして、横浜FM戦から10日後となる3月18日には、J2第5節・清水エスパルスとの「静岡ダービー」を迎えた。

「CBに欠場者(※前節にCB中川創が退場処分、開幕からレギュラーを担ったCB伊藤槙人も負傷欠場)が多く出たことで自分にチャンスが回って来ました。ダービーのためだけに1週間かなりの準備をしたのですが、その気合が空回りしてしまったところもありました。2度のリードを追い付かれたことも含め、個人的な内容にも悔しさの残る試合になりました」