ロシア・プレミアリーグのアンジ・マハチカラに所属する元ブラジル代表DFロベルト・カルロス(通称ロベカル)が今年限りでユニフォームを脱ぐことになりそうだ。スペインのスポーツ紙「マルカ」のインタビューでロベカルは
「アンジとの契約は2013年まで残っているけど、12月で現役を退く。その後は、会長のスレイマン・ケリモフのアシスタントとしてアンジに居続ける。ケリモフは、今後10年にわたって、クラブの組織を築くことを助けてほしいと僕に頼んだんだ」
「僕は引退する。スパイクを置く時が来たんだ。僕の身体は、フィジカルを要するプレー、多くの遠征に耐え切れなくなっている。プロ選手としては17年、アマチュアも併せると21年プレーしてきた。今年が最後だ」
と述べた。世界を代表する名選手がまたひとりユニフォームを脱いでしまうのは非常に残念なことであるが、今回はロベカルのその輝かしいキャリアを振り返っていきたい。
・ロベカルのキャリアを振り返る
サッカー史上最高の左サイドバックと称されるロベカルはウニオン・サンジョアンという地元のクラブでキャリアをスタートさせた。その後、パウメイラス、インテル、レアル・マドリー、フェネルバフチェ、コリンチャンス、アンジ・マハチカラでプレーをしたが、筆者はレアル・マドリーでのプレーが一番記憶に残っている。ロベカルはレアル・マドリーで11年プレーし、通算で500試合以上に出場するなど、「銀河系軍団」といわれた当時のレアル・マドリーにおいて必要不可欠な存在であり、チャンピオンズリーグを3回、リーガエスパニョーラを4回制覇するなど、クラブの黄金時代を象徴する選手であった。当時のレアル・マドリーの主なメンバーにはルイス・フィーゴ、ラウール・ゴンサレス、ロナウド、デイビット・ベッカム、ジネディーヌ・ジダン、マイケル・オーウェン、グティといった世界的名手がズラリと名を連ねていたが、ロベカルの存在は彼らの中でも霞むことはなかった。特に左サイドでともにプレーしたジダンが左サイドでウイングのように振る舞うことよりも、中央寄りでプレーすることを好んだため、左サイドを猛然と駆け上がり、チャンスを演出するロベカルはレアルの戦術上、(もちろん彼がオーバーラップしたスペースを完璧に埋めたクロード・マケレレの存在を忘れてはいけないが)大変重要な選手であった。
また、ロベカルは代表でも輝かしい実績を残している。ブラジル代表としては125試合に出場し、2002年の日韓ワールドカップでは3-5-2の左ウイングバックとして、ブラジルの優勝に貢献した。数々の栄光を手にしたロベカルだが、彼の持ち味は果敢なオーバーラップだけではない。それは「悪魔の左足」から放たれるフリーキックである。
・ロベカルの代名詞
ロベカルを語る上であまりにも有名なのがこのフリーキックだろう。
フランス代表の名手ファビアン・バルテズでさえ全く動くことが出来なかったこのフリーキックはフランスの物理学者の研究対象になったそうであるが、独特の助走から放たれるロベカルのフリーキックは時速140kmを超えるものであり、相手キーパーはもちろん、壁になる選手も大変嫌だったはずである。筆者は小学生のころ、この「ロベカル走り」からのフリーキックを何度も真似したことや(もちろん蹴れる訳が無かったが)、ウイニングイレブンでロベカルのフリーキックを練習した(こちらは見事に成功した)ことを覚えている。
・ロベカルの今後
冒頭で述べたとおり、ロベカルは現役引退後、アンジ・マハチカラのフロントに入ることになりそうだ。今シーズンはシーズン途中に監督が解任されたこともあり、プレイングマネージャーとしてもプレーしたロベカル。豊富な資金力を武器にサミュエル・エトー、ユーリ・ジルコフといった大物の獲得に成功し、今後も積極的な補強を進めていくであろうアンジがヨーロッパの舞台を席巻することができるのか。今後のアンジとロベカルの行方から目が離せない。
2012.1.31 ロッシ
※選手表記、チーム表記はQoly.jpのデータベースに準拠しています。
筆者名 | ロッシ |
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プロフィール | 鹿島アントラーズ、水戸ホーリーホック、ビジャレアルを応援している大学生。今シーズンはプレミアリーグを中心に観ていく予定です。当コラムに関する、感想、意見等がありましたら、下記のツイッターアカウントにどしどしお寄せ下さい。 |
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