「過去30年で最悪のチーム?」
サッカーの母国イングランド。本来であれば優勝候補の一角に挙げられてもおかしくない強豪国であるが、現代表は「過去30年で最悪のチーム」と呼ばれるほど期待値が低く、これまでのイングランド代表のイメージに当てはまらないのが一般的な見方だ。
予選こそ5勝3分0敗の無敗で突破し、数字だけを見れば全く問題の無い状態であるように見えるが、その試合内容はどれも満足出来るようなものではなく、チームの成熟度は高くない。加えて2008年から代表を指揮してきたファビオ・カペッロが、テリーの主将更迭問題で協会と揉め2012年2月に辞任。2月29日に行われたフレンドリーマッチのオランダ戦は、U-21代表監督のステュアート・ピアースが暫定的に指揮を執ったというドタバタ劇を演じている。その後、ようやく後任にロイ・ホゾシンが就任すると発表されたのが5月1日のことで、本大会までおよそ一カ月弱の間にどれだけチームをまとめられるかがポイントとなってくるだろう。
ホジソンの構想は?
予選のチームをベースに本大会のイングランド代表を考えると、レギュラー格と言えるのは、ヤング、パーカー、ハート。そして予選のモンテネグロ戦で相手選手を蹴り、本大会のグループリーグ、フランス戦、スウェーデン戦の2試合の出場停止処分を受けているルーニーあたりだが、こちらはホジソン政権下でも変わらず。新チームのキャプテンに就任したスティーヴン・ジェラードや守備陣のリーダーとしても期待されるジョン・テリーあたりも不動のメンバーとなるはずだ。
しかし、その他に目を向けてみると不確定要素はいくつもあり。基本システムは4-4-2(4-2-3-1)に落ち着きそうで、2試合を欠場するルーニーの代わりはヤングが任されることになりそうだが、センターフォワード、サイドアタッカー、サイドバックは試合によって日替わりになる可能性がありそうだ。細かくみていくと、センターフォワードは、ホジソンの好みを考えるとアンディー・キャロルが一番手となる感じはあるが、親善試合で評価に値するパフォーマンスを見せているダニー・ウェルベックがレギュラー獲りに名乗り。また、サイドハーフについては、ヤングがフォワードで起用された際には、スチュワート・ダウニング、ジェイムズ・ミルナーというペアが無難な組み合わせにはなるが、アレックス・オクスレイド=チェンバレン、セオ・ウォルコットのアーセナルコンビも捨て難く、少なくとも面白さでは言えば、後者が圧倒的。また、サイドバックについても、これまでの序列も考えると、アシュリー・コール、グレン・ジョンソンになるが、決定打に欠けるのも事実。欧州でもトップクラスのクロスを操るレイトン・ベインズや成長著しいフィル・ジョーンズなどを思い切って使ってみるのもいいだろう。
なお、イングランドサッカー協会が発表した本大会登録メンバー23名は以下の通り。
# | 名前 | 所属クラブ | 生年月日 | 身長/体重 |
---|---|---|---|---|
GK | ||||
1 | ジョー・ハート (Joe Hart) |
マンチェスター・シティ | 1987/4/19 | 196/91 |
13 | ロバート・グリーン (Robert Green) |
ウェストハム | 1980/1/18 | 191/93 |
23 | ジャック・バットランド (Jack Butland) |
バーミンガム | 1993/3/10 | 192/95 |
DF | ||||
2 | グレン・ジョンソン (Glen Johnson) |
リヴァプール | 1984/8/23 | 182/70 |
3 | アシュリー・コール (Ashley Cole) |
チェルシー | 1980/12/20 | 176/66 |
5 | マーティン・ケリー (Martin Kelly) |
リヴァプール | 1990/4/27 | 191/77 |
6 | ジョン・テリー (John Terry) |
チェルシー | 1980/12/07 | 187/90 |
12 | レイトン・ベインズ (Leighton Baines) |
エヴァートン | 1984/12/11 | 170/74 |
14 | フィル・ジョーンズ (Phil Jones) |
マンチェスター・ユナイテッド | 1992/2/21 | 185/71 |
15 | ジョリオン・レスコット (Joleon Lescott) |
マンチェスター・シティ | 1982/8/16 | 188/89 |
18 | フィル・ジャギエルカ (Phil Jagielka) |
エヴァートン | 1982/8/17 | 180/83 |
MF | ||||
4 | スティーヴン・ジェラード (Steven Gerrard) |
リヴァプール | 1980/5/30 | 183/83 |
7 | セオ・ウォルコット (Theo Walcott) |
アーセナル | 1989/3/16 | 170/68 |
8 | ジョーダン・ヘンダーソン (Jordan Henderson) |
リヴァプール | 1990/6/17 | 182/67 |
11 | アシュリー・ヤング (Ashley Young) |
マンチェスター・ユナイテッド | 1985/7/9 | 175/65 |
16 | ジェイムズ・ミルナー (James Milner) |
マンチェスター・シティ | 1986/1/4 | 176/70 |
17 | スコット・パーカー (Scott Parker) |
トッテナム・ホットスパー | 1980/10/13 | 175/70 |
19 | スチュアート・ダウニング (Stewart Downing) |
リヴァプール | 1984/7/22 | 180/65 |
20 | アレックス・オクスレイド=チェンバレン (Alex Oxlade-Chamberlain) |
アーセナル | 1993/8/15 | 180/70 |
FW | ||||
9 | アンディ・キャロル (Andy Carroll) |
リヴァプール | 1989/1/6 | 191/76 |
10 | ウェイン・ルーニー ( Wayne Rooney) |
マンチェスター・ユナイテッド | 1985/10/24 | 178/82 |
21 | ジャーメイン・デフォー (Jermain Defoe) |
トッテナム・ホットスパー | 1982/10/7 | 169/65 |
22 | ダニー・ウェルベック (Danny Welbeck) |
マンチェスター・ユナイテッド | 1990/11/26 | 188/73 |
なお、バックアップメンバーには、ジャック・バットランド(バーミンガム)、フィル・ジャギエルカ(エヴァートン)、ジョーダン・ヘンダーソン(リヴァプール)、アダム・ジョンソン(マンチェスター・シティ)、ダニエル・スターリッジ(チェルシー)の5名が選出。
その後、当初本大会メンバーに登録されていたジョン・ルディ(ノリッジ)、ギャレス・バリー(マンチェスター・シティ)、フランク・ランパード(チェルシー)が故障離脱したため、代わりにジャック・バットランド(バーミンガム)、フィル・ジャギエルカ(エヴァートン)、ジョーダン・ヘンダーソン(リヴァプール)が本大会メンバーに格上げとなった。
また、6月2日に行われたベルギー戦ではギャリー・ケイヒルがジョー・ハートと交錯して顎を損傷。4日に本大会メンバーから除外されたことが発表され、代わりにノルウェーとの親善試合用に招集されていたマーティン・ケリー(リヴァプール)がそのまま登録された。
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(筆:Qoly編集部 Y&T)
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