2001年3月のプレミアリーグデビューから11年、エヴァートンのベテランDFトニー・ヒバートに、ついに歓喜の瞬間が訪れた。
地元リヴァプールで生まれ、アカデミー時代からエヴァートン一筋のヒバート。1998年には同期のレオン・オズマンらとともにFAユースカップを制し、プロとなってからもトフィーズのためにすべてを捧げてきた。
そんな今年31歳になった彼であるが、サポーターから愛される理由がもう一つあった。
それは、デビュー以降309試合に出場しながら、ゴールを一つも決めていないこと。
勤勉さと対人戦の強さが売りの名サイドバックが持つ意外なクラブ記録はサポーターから格好のネタにされ、『ヒバートがゴールを決めたら、暴動を起こす』、逆を言えば、決めない限りは絶対に暴れたりしないというスローガンが広まっていた。
そして8日、ヒバートのキャリアをたたえるAEKアテネとのプレシーズンマッチで、その“約束"は果たされることになる。
レンジャーズから加入したスティーヴン・ネイスミスのハットトリックにより、3-1とリードして迎えた53分、エヴァートンはゴール正面やや左でフリーキックのチャンスを得る。蹴るのはもちろん、この日キャプテンマークを巻いて出場したヒバート。
彼の放ったシュートは見事に壁の下を抜け、ゴールネットを揺らす。と同時に、大歓声に包まれるグディソン・パーク。
待ちに待った瞬間が訪れたサポーターも次々とピッチへなだれ込み、31歳の初ゴールを祝福した。
「まるでおとぎ話のようだとチームメイトの皆に言われたよ」と試合後に語ったヒバート。今度は公式戦でのゴールをサポーターにプレゼントしたいところだが、決めた後のことを考えると、ちょっぴり不安な気持ちになるかもしれない。
エヴァートンは今月20日、プレミアリーグ開幕戦で、香川擁するマンチェスター・ユナイテッドをホームに迎える。