アート――それは人々の心に感動をもたらす万国共通の事物である。

芸術家たちは五感の全てを集中させ、創作活動に熱を注ぐ。他者との競争はそこにはない。まだ見ぬ高みを目指し、自分の中に内在する感性をひたすら呼び起こすのだ。

そんな過酷な戦いの末、発表され話題となった作品がある。リヴァプールに所属するMFスティーヴン・ジェラードの肖像画である。

なぜその作品が話題を呼んでいるのか。それは、盲目の画家によって描かれたものであったからだ。

プレストン出身の画家、マシュー・ローズさんは現在39歳。18年前にバイク事故の被害に遭い、光を失った。

そんなローズさんは、自身のとある才能に気付く。そう、絵画である。

事故から10ヵ月後、ローズさんは英国の退役軍人が主催する慈善団体に所属し、絵を描くことの素晴らしさに目覚めたという。

「失明したと分かった時、その慈善団体が私の前にあった。自信を回復し自立する方法を教えてくれた。

自分の絵画の才能に気付いたのは、その団体が私をアートクラフトのワークショップに招待してくれた時なんだ。

これまで、多くのサッカー選手を描いてきた。1人のリヴァプールサポーターとして、チームのトッププレーヤーたちを描くことは意味があるよ」

そして、彼が描いた絵はあの男にも認識されることになる。リヴァプールのキャプテンで、"アンフィールドの魂”とさえ呼ばれたジェラードだ。

「彼の絵にはとても感銘を受けたよ。マシューさんは私の特徴をよくとらえていると思う。

彼の才能と技術はこうして実証されている。喜んでサインをするよ」

ジェラードはそう言い、自身の肖像画にサインをした。この絵は同団体に寄贈され、2015年にはチャリティオークションにかけられるという。

絵は心で描くものである―。そんな教訓をローズさんは私たちに教示しているのかもしれない。

ちなみにこのローズさんだが、自身のブログで過去の作品を公開している。

他にもルイス・スアレスやサー・アレックス・ファーガソン前監督、ジョゼ・モウリーニョ監督といったサッカー関係者を扱っており、是非ご覧いただきたい。