アート――それは人々の心に感動をもたらす万国共通の事物である。
芸術家たちは五感の全てを集中させ、創作活動に熱を注ぐ。他者との競争はそこにはない。まだ見ぬ高みを目指し、自分の中に内在する感性をひたすら呼び起こすのだ。
そんな過酷な戦いの末、発表され話題となった作品がある。リヴァプールに所属するMFスティーヴン・ジェラードの肖像画である。
なぜその作品が話題を呼んでいるのか。それは、盲目の画家によって描かれたものであったからだ。
Steven Gerrard has praised a BLIND artist who painted this portrait of him
#lfc http://t.co/BrDemS7VRw pic.twitter.com/FMltHhI5JT
&mdash Bleacher Report UK (@br_uk)
2014, 5月 2
プレストン出身の画家、マシュー・ローズさんは現在39歳。18年前にバイク事故の被害に遭い、光を失った。
そんなローズさんは、自身のとある才能に気付く。そう、絵画である。
事故から10ヵ月後、ローズさんは英国の退役軍人が主催する慈善団体に所属し、絵を描くことの素晴らしさに目覚めたという。
「失明したと分かった時、その慈善団体が私の前にあった。自信を回復し自立する方法を教えてくれた。
自分の絵画の才能に気付いたのは、その団体が私をアートクラフトのワークショップに招待してくれた時なんだ。
これまで、多くのサッカー選手を描いてきた。1人のリヴァプールサポーターとして、チームのトッププレーヤーたちを描くことは意味があるよ」
そして、彼が描いた絵はあの男にも認識されることになる。リヴァプールのキャプテンで、"アンフィールドの魂”とさえ呼ばれたジェラードだ。
@LFC skipper Steven Gerrard impressed by a painting of himself by a #blind artist http://t.co/i08BRyXIoT pic.twitter.com/5KeJZviqvz
&mdash Visibility (@WeAreVisibility)
2014, 5月 2
「彼の絵にはとても感銘を受けたよ。マシューさんは私の特徴をよくとらえていると思う。
彼の才能と技術はこうして実証されている。喜んでサインをするよ」
ジェラードはそう言い、自身の肖像画にサインをした。この絵は同団体に寄贈され、2015年にはチャリティオークションにかけられるという。
絵は心で描くものである―。そんな教訓をローズさんは私たちに教示しているのかもしれない。
ちなみにこのローズさんだが、自身のブログで過去の作品を公開している。
他にもルイス・スアレスやサー・アレックス・ファーガソン前監督、ジョゼ・モウリーニョ監督といったサッカー関係者を扱っており、是非ご覧いただきたい。