FIFAへの加盟は1926年と古いが彼らは21世紀になるまでただの弱小国でしかなかった。しかし、コロンビア人エルナン・ダリオ・ゴメス監督の下、“魔術師”アレックス・アギナガ、怪人アレックス・デルガド、脅威の右サイドバック、ウリセス・デ・ラ・クルス、DFリーダー、イバン・ウルタドらの活躍により、2002年日韓大会で悲願のワールドカップ初出場を果たすと、連続出場を決めた2006年ドイツ大会では現ホンジュラス代表ルイス・フェルナンド・スアレス監督の指導によりベスト16を達成。強豪としての地位を確立していくこととなる。

エクアドルはトリコロールの国旗やそのユニフォームを見ても分かる通りかつてはベネズエラ、パナマと同じく大コロンビアの1つを形成する国であったが、フットボールのスタイルはコロンビアや南米全般のテクニックとパスを重視したスタイルとは些か異なる。

同国のフットボールにおいて中心的な役割を担っているのはチョタ渓谷など貧しい地域出身の黒人。彼らのルーツはアフリカのアンゴラ辺りとのことで西アフリカ特有の驚異的な身体能力というよりは丈夫で力強く忍耐力があるのが特徴だ。そういった背景と元々の国民性だろうか、家族的な一体感をベースにターゲットとなるFWと4-4-2の両サイドを使った英国式で縦に速いフットボールがこの国の伝統となっており、デ・ラ・クルスやデルガド、そしてバレンシアらイングランドでプレーした選手が多いのも偶然ではないだろう。

強豪の仲間入りを果たしつつあったエクアドルだが、2006年大会で快挙をもたらしたスアレス監督が2007年コパ・アメリカの失敗により辞任。その後、年代別代表で結果を残したシクスト・ビスエテ氏が指揮を執ったが予選終盤のウルグアイ戦に敗れて3大会連続のワールドカップ出場を逃してしまい、停滞ムードが漂うなかで後任に任命されたのが現在のレイナルド・ルエダ監督だ。