ヤンマースタジアム長居や日産スタジアムなど、日本でもスタジアムの命名権を企業が買い取るケースが増えてきている。いわゆる“ネーミングライツ”と呼ばれるもので、一般的に企業が知名度アップを図り、莫大な資金でスタジアムの命名権を獲得し、その企業やサービスにまつわる名前を付けるのである。

海外でもエミレーツ・スタジアムやエティハド・スタジアムなどサッカーファンであればすっかり馴染み深いこのネーミングライツだが、英国2部に所属するとあるクラブの命名権をめぐり、ちょっとおもしろい事例が生まれそうだという。

英国『Mail Online』によれば、英国2部に所属するノッティンガム・フォレストがこのほどスタジアム命名権の売却に成功。ノッティンガム・フォレストのスタジアムはシティ・グラウンド。この命名権を売却し、新たな資金を得ようという目論見である。

これ自体はなんら新しい話ではない。しかし、興味深かったことがある。なんと、この命名権を獲得したのが一般企業ではなく、どうやらクウェート政府なのではないかというのだ!

記事によれば、ノッティンガム・フォレストの会長であるファワズ・アル・ハサウィ氏が交渉をまとめ、このほど話がまとまりそうだという。ちなみにアル・ハサウィ氏の国籍はクウェートである。

今回の契約により、シティ・グラウンドという名称はクウェート・シティ・グランド・スタジアムへと変更される見込み。さらには選手たちが着用するユニフォームにはクウェートの国旗がラベリングされるという。

サッカースタジアムにおける命名権に関しては、一般企業が行使するケースが通例であった。しかし、近年ではネーミングライツをめぐる状況も多様化しており、政府や市町村がブランド発信やPRのために命名権を獲得するケースも存在するようだ。

もし今回の命名権を日本政府が獲得していれば、ノッティンガム・フォレストのホームスタジアムは「ジャパン・シティ・グラウンド」になっていたかもしれないのだ。そう考えるとどこか不思議な感じもするが、英国の一クラブにそれだけの訴求力があるとも言い換えることができる。経済発展めざましい中東の国ならではの形であろう。

なお、ノッティンガム・フォレストといえば、1979年から2シーズン連続で欧州王者にも輝いた古豪であり、現在は前イングランドU-23代表監督スチュアート・ピアースが監督を務めている。

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