この時期になると、プレミアリーグの舞台では必ず目にするシンボルマークがある。

選手のユニフォームや監督のスーツに添えられる一輪の花。「いたわり」や「思いやり」といった花言葉を持つケシ科の植物、ポピーである。日本名では「虞美人草(グビジンソウ)」や「ヒナゲシ」と呼ばれるこの可憐な花が、なぜかこの時期になると英国の様々なフットボールシーンで確認できるのだ。

日本で暮らしているとあまり意識しないが、11月11日は英国では"Remembrance Day"という記念日である。第一次世界大戦の停戦協定が1918年11月11日に結ばれたことから、「戦没者記念日」や「停戦記念日」とも呼ぶ。

毎年この日になると世界大戦で亡くなった犠牲者へ追悼するのが慣習となっており、この日が近付くにつれ世界各地で様々な行事が行われているのだ。先日Qolyではアーセナルのアーセン・ヴェンゲル監督やチェルシーDFジョン・テリーがロンドン地下鉄の車内アナウンスに挑戦するというニュースを届けしたが、この活動もその一環である。

そして、それら意思表示として用いられるのが赤いポピーの花だ。元々は英国在郷軍人会が戦没者への募金を目的に赤いポピーが売られたことが始まりであるそう(諸説ある)で、今ではすっかり定着し「ポピー・デイ」とも呼ばれる。

プレミアリーグの各チームはこの季節になると毎年、赤いポピーが刺繍されたユニフォームを着用しているが、これは英国在郷軍人会への募金活動(ポピーアピール)を支援するため。クラブによってはこの時期、Twitterアカウントのエンブレムにポピーを小さく添えており、選手が着用したこの特別なユニフォームをオークションにかけ、募金に協力しているクラブもある。

なお、今シーズンのプレミアリーグでは退役軍人に向けた無料チケットをおよそ5000枚ほど配布するそうで、全クラブが一斉に実施するのはこれが初めてのことだという。

ポピーの花柄の下には "1914 - 2014 FOOTBALL REMEMBERS(サッカーは忘れない)"の文字も記されている。もちろん、1914年は第一次世界大戦が始まった年であり、今年は開戦からちょうど100年目を迎える。今週末のプレミアリーグでは全ての試合でこのポピーの刺繍がついたユニフォームを選手は着用しキックオフ前には黙祷の時間も設けられという。

これらの活動は、プレミアリーグや協会が主導権を持って進められているものである。世界で最も多い視聴者数を誇り、200近い国と地域で放送されるプレミアリーグがこうした社会貢献を積極的に進めるのは立派なことであろう。

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