“エトー以上"の真相は
前回に続き今回の記事タイトルにも使用した、“エトー以上"というフレーズが気になっておられる方も少なくないだろう。
これは誇張ではなく、フラメンゴに加入した2005年以降のオビナの活躍ぶりをサポーターが当時アフリカ最高の選手の1人として名声を得ていたカメルーン代表サミュエル・エトーと比較することで強調し、実際にチャントとして叫んでいたものである。
「Obina é melhor que o Eto'o!」(オビナはエトーより優れている!)の大合唱
ただこのチャントによってフレーズが先行し定着、彼の名刺代わりとなっていったものであって、結果として見ればその後、より一層の飛躍を遂げたエトーと比べ、オビナは国外ではサウジアラビア、中国に留まり、今年はブラジルの2部でプレーしたことからも本家に遠く及ばなかったことは明白である。
しかしながら当時、20歳そこそこにしてハイレベルの活躍を見せていた彼にサポーターがそれだけの期待を抱いていたことは揺るぎない事実だろう。以下、フラメンゴ時代に記録した47ゴールをたっぷりお届けする。48分17秒と長い動画だが、お時間のある方には是非ご覧いただきたい。
Jリーグ、松本山雅での展望は!?
来年J1に昇格する松本山雅でのオビナは果たして活躍できるのであろうか。
お世辞にも献身的ではなく細かいパスワークも不得手で、スペースがあってこそ本領を発揮するタイプなだけに、率直に言ってあまりJリーグ向きの選手とは言い難い。異なる環境に対応する柔軟さを持ち合わせた選手ではなかったことは潜在能力の割に停滞したキャリアからも窺えることで、パワーと身体能力を持ち味にするだけに31歳を迎えた現在は多少の衰えもあるのが現実のところであろう。
しかし、個人の能力はJはおろかブラジルでも有数のものがあり、チームの状態にかかわらず独力でゴールを奪える選手である。このたびめでたくJ1初昇格を果たした山雅がある意味で割り切ったサッカー、例えば彼任せの大胆なカウンター戦術を採用をすれば最高の力を発揮する可能性も十分にあるだろう。知将・反町康治監督の腕の見せ所である。