リバプールの3バック。「原点回帰」で大きく向上した組み立て。
まず、リバプールの組み立てを改善する上で最も重要だったのはジェラードの役割を調節したことだ。今シーズン、ジェラードは4バックの前でプレーしながらCBの間などに入り、システマチックにサポートすることが求められていた。
上の2枚の写真は、11月8日に行われたチェルシー戦からの抜粋だ。ジェラードが比較的中央を意識してプレーしており、それ故に相手のマークを浴びていることが解るだろう。このスタイルではジェラードのマークを軽減することが出来ず、彼の本来の展開力を生かすことが出来なくなってしまっていた。
そこで、アーセナル戦でブレンダン・ロジャースは昨シーズンの形に近い「原点回帰」を狙った。中盤の相方として、低い位置でのプレーをこなすことが出来るルーカスを起用することで、ジェラードの可動範囲を広げて自由を与える。これによって、ジェラードを「動き回るクォーターバック」的に使うことが出来る訳だ。更に、ルーカスとジェラードが交互に後ろに下がって行くことによって、相手のプレッシングを誘発しながら捌いていった。
3バックにMFが1人入り、4バックのDFラインを形成するような柔軟な形を使うことによって、相手のボールの取り所を徹底して解りづらくさせる。これが、3トップを起用したアーセナル相手に完璧なまでに嵌った。
この場面でボールを持っているのはジェラード。4バックのCBの位置に入り込んで、そこで比較的自由にボールを持つことが出来ている。
ここでは、先ほどと同じポジションでルーカスがボールを持っている。ジェラードは左に流れることでカソルラを引き付けており、前からのプレスの噛み合わせを崩している。
ここでは、ジェラードが左寄りでボールを持っており、先ほどとは少し違う。ウェルベックがプレッシングをかけようとしているが、十分な圧力にはなっていない。
ここでも、左寄りでジェラードがボールを持っている。
このように外寄りでボールを持つことを増やすことによって、ジェラードが前を向ける場面を増やし、彼の正確無比なロングパスを効果的に使うアイディアが奏功。組み立ては大きく向上した。