戦術について

「中東のサッカー」といえば日本では高速カウンターのイメージが強いが、最近では各国の強豪クラブはほとんど後方から繋ぐサッカーを行っており、自分たちの方が格上ならばパスをしっかり回してくる(例外は伝統的に個人主義のアル・ガラファ)。それはイエメンやレバノンに至るまで同じである。

そしてパレスチナも例外ではなく、近年は最終ラインにもパスを出せる選手を起用することで現代的な中東のサッカーを取り入れている。

もちろんパレスチナと他の力関係を考えれば、今大会では押し込まれる可能性が高い。その場合でもやはり前に蹴るだけではなく、狙いを持ってパスを送ってくるカウンターになるはずだ。

そして、その中心人物となるのは先日【動画で見る!アジアカップスターズ】でも取り上げたエースストライカー、アシュラフ・ヌーマンとなるだろう。彼を止めるか、あるいは彼へのパスを封じる必要がある。

おそらくその周りで起用されることになるアブハビブも、独力打開力はそこまでないものの得点力に優れている。彼を生かさないためにもヌーマンを活躍させないことが大切だ。

上記のように、守備面は決して安定しているとは言えない。特にサイドバックの守備力は高くはなく、単純なタッチライン際への長いボールでも裏を取られることがある。

それは2014年アジア大会で対戦した我々はよく分かっているはず。あの時のサイドバックはアブドゥラー・ジャービルとアル・バタートであり、フル代表と同じだ。

しかし、彼らがここまで点を取られないのには必ず理由がある。体を張った最後でのブロック、諦めない精神的強さ、技術では表せないところに刃を隠している。それを今大会でも見せてくるはず。