ミカエル・ラウドルップ氏の指導歴とその成績

指導歴を見てみよう。

2000~2002年:デンマーク代表アシスタント・コーチ 2002年ワールドカップ・ベスト16
2002-03シーズン:ブレンビュー 2位(15勝11分7敗)、ダニッシュカップ優勝
2003-04シーズン:ブレンビュー 2位(20勝7分6敗)
2004-05シーズン:ブレンビュー 1位(20勝9分4敗)、ダニッシュカップ優勝
2005-06シーズン:ブレンビュー 2位(21勝4分8敗)
2007-08シーズン:ヘタフェ 14位(12勝11分15敗)、国王杯準優勝
2008シーズン(9月より途中就任):スパルタク・モスクワ 8位(11勝11分8敗)※就任後3勝2分5敗
2009シーズン(4月に解任):スパルタク・モスクワ 10位(1勝1分2敗)※解任時成績
2010-11シーズン:マジョルカ 17位(12勝8分18敗)
2011-12シーズン(9月に解任):マジョルカ 11位(2勝0分3敗)※解任時成績
2012-13シーズン:スウォンジー・シティ 9位(11勝13分14敗)、キャピタルワンカップ優勝
2013-14シーズン(2月に解任):スウォンジー・シティ 12位(6勝6分12敗)※解任時成績
2014-15シーズン:レフウィヤ 2位(13勝3分2敗)※2/24現在

輝かしい成績を残したデンマーク時代と比較すると、西欧へ移ってからは「1シーズン目の評価が高く2シーズン目に解任される」を繰り返している。

『Dailymail』によると、スウォンジー・シティ時代に指導を受けた選手は「前任者のブレンダン・ロジャーズは選手達の親族の名前も言えたが、彼はそうではなかった。そのかわり、彼はスピーチをしたり叫ぶことがない。いつも穏やかで静かだった。彼はシャイだったのかも知れない」と発言している。

そう、スウォンジー・シティは名将ブレンダン・ロジャーズの後釜であったのだ。ここにキーワードがある。ラウドルップが指揮する前の監督が誰なのか?という点である。


継続路線の貴公子

ヘタフェの前指揮官はベルント・シュスター、マジョルカの前指揮官はグレゴリオ・マンサーノ、スウォンジー・シティの前指揮官はブレンダン・ロジャーズ、それぞれ名の知れた指揮官であった。

彼らは指揮していたチームを離れてからはシュスターがレアル・マドリー、マンサーノがセビージャ→アトレティコ・マドリー、ロジャーズがリヴァプールといずれもビッグクラブへ引き抜かれている。

ラウドルップが真に得意なことは前任者が築き上げたチームを継続し、そこに攻撃サッカーのエッセンスを加えるというものなのだ。2年目の不振もこう捉えることができる。1からチームを組み立てるということは得意ではない、そのために中小クラブでは1,2シーズンもすれば活躍した選手は離れチームを改革することに失敗する。

例えば、ブレンダン・ロジャーズ時代のスウォンジーとミカエル・ラウドルップ時代のスウォンジーを比べるとパスサッカーという共通点は変わりがなかった。センターハーフの2人を中心に後ろから細かくつないでいくサッカーだ。パスの成功率は85%前後とこちらも同等だ。

一方で、センターバックから前方へ出していくパスの数と成功率が低下しているにも関わらず、フォワードが空中戦をするシーンが何倍にも増えている。よりダイレクトにロングパスやサイドに展開をしていこうという意図がそこには見える。また、サイドバックのオーバーラップが目立ち、ウィングはその分中へ切れ込む数が増え、ドリブルやクロスを行う回数は大きく減少している。

こうしたエッセンスを加えることで、2012-13シーズンにはキャピタルワンカップ優勝を経験した。しかし、解任前の最後10試合では1試合しか勝つことが出来なかった。ミチュが怪我をし、活躍した選手がチームを離れる中で徐々に失速したわけである。

複数の海外メディアも日本代表監督就任の噂を報道した


日本代表の監督としてはどうなの?

気になる日本代表監督としての評価だが「来年がワールドカップだったらあり」というのが私の考えである。確かに代表監督の経験はアシスタントコーチしかないが、短期間であればアギーレ戦術のディテールをアップデートする形で良い内容を見せてくれると判断するからだ。

しかし、次のワールドカップまで残り3年半という期間においては不安が大きい。長い年月の間に、現在のアジアカップ・メンバーからは大きく入れ替える必要があるからだ。そうなった時に、「新しい選手」を使って「新しい日本代表」を組み立てるということは未知であり、他の有力候補を差し置いて選ぶ程ではないと考える。

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