今月17日、バレロンは40歳を迎えた。

仮にバレロンが現役を続行すれば、来シーズンは40歳になった熟練のプレーがリーガで見られるということになる。

地元クラブのリーガ昇格に人口およそ40万人弱の小さな島の住人たちは歓喜していたに違いないが、14年ぶりとなるラス・パルマスのリーガ復帰の陰には1年前の悲痛な出来事があった。

2013-14シーズン、ラス・パルマスはリーガ2部を6位で終えていた。バレロンがラス・パルマスに復帰したファーストシーズンのことだ。

上述した通り、リーガ2部では3位から6位までが昇格プレーオフを戦う。スポルティング・ヒホンとの準決勝を制したラス・パルマスは決勝に辿り着いていた。ファイナルの相手は、後にハーフナー・マイクが移籍することになるコルドバだった。

コルドバはこの年、リーガ2部を7位でフィニッシュしていた。本来であれば昇格プレーオフに進出する権利がない。しかし、このシーズンのリーガ2部ではバルセロナBが3位でシーズンを終えていたため、コルドバに昇格プレーオフのチャンスが巡ってきたのだ。

リーグ6位対リーグ7位の昇格プレーオフ決勝は1stレグがスコアレスドロー。2ndレグはかつてマラガで背番号10を背負ったFWアポーニョが48分に先制ゴールをあげ、ラス・パルマスがホームで先制点をあげる。

試合は1-0のまま進み、先発出場したバレロンも途中交代しついにはアディショナルタイムへ。第4審が持つボードに表示された時間は3分、時計はすでに92分を回っていた。

昇格するのはおれたちだ―。スタジアムに訪れたサポーターがそう思っていた時だった。ラス・パルマスを悲劇が襲う。

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