先日、FC東京の日本代表FW武藤嘉紀が新たに旅立ったドイツの地。Jリーガーの移籍先として“お馴染み”となった感がある。
ただ、大学卒業と同時に海を渡り、現在ブンデスリーガ1部でプレーしている異色の選手もいる。
長澤和輝。
専修大学で関東大学1部リーグ3連覇を達成したMFは、2013年12月に当時ブンデスリーガ2部の1.FCケルンと契約。2013-14シーズンは途中加入ながら10試合に出場すると、チームが1部へ昇格した2014-15シーズンは、開幕前の大事な時期に練習試合で左ひざの内側靱帯を断裂。復帰した後もなかなか出場機会を得られなかったが、シーズン終盤に訪れたチャンスをものにし、ラスト7試合は全試合に出場した(※うち5試合に先発)。
ブンデス1部で2年目を迎える23歳の攻撃的MFに、昨シーズンのことやドイツのサッカー、ケルンというクラブについて聞いた。(カバー写真:浦正弘)
― 様々なことがあった昨シーズン、全体的な流れとして振り返ると、どんな一年でしたか?
シーズンとしては、今までにないほどうまくいかないことが続いた大変な一年でした。最初に怪我をして、やっと復帰したところでウイルスによる感染症にかかりさらに1、2ヶ月。前半戦はほぼ何も、それもサッカーができずに終わってしまいました。
後半戦もチームのやっているサッカーや流れがあり、そのサッカーで勝ち点を獲っていこうという方針があったためなかなか入る隙がなかったです。その中で、シーズン終盤にチャンスをもらい、自分としてやれた部分とやれなかった部分がありますがどうにか試合に絡むことができたので、それをしっかりと次につなげたいと思います。
― ブンデスリーガ1部でプレーした初めてのシーズンでしたが、2部とはどういった違いがありましたか?
Jリーグや大学リーグも1部と2部でレベルの差がすごくあると思いますが、それと変わりません。やはり個の能力が全然違いますし、プレーや判断のスピードもワンランク上でした。
― Jリーグのクラブからもオファーを受けていた中でのケルン入団という決断でした。
当時は「チャレンジ」という言葉も口にされていましたが、大学卒業と同時に海外へ渡ることのメリット・デメリットといった点で現在感じる部分はありますか?
個人的な感想でいえば、悪いことはあまりないと思います。試合にある程度出場できているのでそう思う部分があるかもしれないですが、そうではない部分もあると思っています。
たとえば、日本とドイツではサッカー自体が違います。Jリーグと比べてどうと言うのは難しいですが、僕が日本でやってきたサッカーとは、試合前の準備の仕方や練習のゲームに対する思いなど様々な違いがありました。それぞれが『正しい』と考えてやっているのでどちらがと言うのは批判になってしまうのですが、そうではなく“違い”を体感できることはサッカー選手として、さらに今後サッカーに携わっていく上でも良い経験になります。しかも研修のような形ではなく、現地で、ブンデスリーガのチームの中に入って経験できることは非常に大きいです。
もちろん、サッカーだけではなく言葉など色々な部分で成長や勉強につながっていると感じます。