― ケルンといえばサポーターが熱狂的で、クラブも彼らとのコミュニケーションを大事にしているのを感じます。

サポーターに向けた取り組みで印象に残っていることがあったら教えてください。

いい意味でリラックスしていますね。日本の高校や大学、特に高校ではサッカーという部活を通じて人間を育成する、教育の一環としてやっている部分がありますが、その辺りの考え方が違うと感じます。

たとえば昨年11月、練習前に突然『今日はアフロを着けてやるぞ』と言われました。カーニバルの初日だったらしく、アフロや鼻に赤いのを着けて、練習場にも一列で前の選手の肩を持って入場しました。

練習でこういったことをした場合、日本では色々と言われてしまうかもしれないですが、大切なのはそこではなく、試合に勝つことです。そこがブレなければ問題ないですし、実はこのときも週末に試合がある週ではなく、代表ウィークでした。しっかりと休みが取れているときはその後に少し走ればコンディションは調整できます。

その辺りのメリハリの付け方ですね。チームが勝つためにサポーターの後押しは必要ですし、そのためのコミュニケーションは選手も惜しまずにやります。

≪惜しまずにやる様子の長澤(左)≫

街を歩いているときにサポーターと話をしたりもしますが、ケルンは選手とサポーターの距離が近く交流が多いように感じます。

そう言えば、ケルンもバルセロナの会員(ソシオ)のようなことを少し前に始めたらしいんです。ただ、ケルンの人はクラブの“血”が元々流れているからと言って入らず、『他の地域から入ればいいんだ』といった感じで会員数がそれほど伸びていないという話を聞きました(笑)。それくらい皆が思っているチームです。どの選手がいるとかではなく、やっぱりチームが好きなんですよね。

― ケルンでプロになったドイツ代表のルーカス・ポドルスキなどは、今でもよくスタジアムを訪れていますよね。

他のチームなのに関係なく来ますからね。スタジアムにVIPルームを一つ持っているみたいです。

ただ、彼はある意味ケルンの“夢”なんです。あれだけサッカーで成功して、スター選手になって。今のチームでいえばティモ・ホルンが若い子の憧れで、たとえば街の普通の服屋へ行っても、モデルが『ティモ』というGKなんです。サッカーが根付いていないとそうゆうことにはならないじゃないですか。それぐらいサッカーに対する考え方が違います。

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