― ドイツに渡ってから監督に一番求められたのはどんなことですか?
1.5列目の選手なので、ボールを失わずにつなぎ、得点に絡む。それがどの選手でも求められます。スピードで抜けるような形はやはり純粋な足の速さが必要なので、それは求められていません。しっかりとパスを出し、前へつなぐ。ボールを失わずに落ち着かせ、間に入ってパスコースを作るといった辺りです。
― そうした中で、チームメイトに認めてもらうためどんなことに気を付けましたか?
単純に結果だと思います。練習で5回パスを出して3回失ったらパスは来なくなると思いますし、逆に5回とも成功していいプレーにつなげられたら『こう出していいんだ』となります。もちろん言葉のコミュニケーションも大事ですけど、特に最初、ドイツ語が流暢ではない日本人が入ったときはプレーで示していくことが大切です。
― ちなみに、言葉のほうは?
ドイツ語は難しいので勉強中です。これ自体もすごくいい経験になっていますし、空いている時間に英語のクラスへ行ったりもしています。少しずつですけどレベルは上がってきていると思います。
― 上達につれてコミュニケーションも取りやすくなっているという感じですか?
語学のレベルが上がらないとコミュニケーションの質は上がりません。ただ、ケルンでは1年半プレーしていて、チームメイトがあまり変わっていない上に年齢が近い選手も多いので、一緒に遊びに行ったりご飯を食べに行ったりしています。そうした中で選手間の、人としての距離が近くなったというのは感じました。
― 同年代の選手という話が出ましたが、昨年のワールドカップで優勝したドイツでは近年、優秀な若い選手が続々と登場しています。
彼らのような選手の“ベース”において、日本人と違う部分というのは何か感じますか?
やはり育成ではないかと思います。良い選手を輩出しているということは、DNAに加えてそれまでの選手を育てる環境、育成の組織など様々な部分が違うのではないかなと。また、ブンデスリーガでは活躍した選手が引退してその経験を若いプレーヤーたちに伝えていますが、Jリーグではそういったサイクルがまだ始まったばかりです。アンダーの練習を見に行くと、育成の仕方も、たとえば声のかけ方やシュート意識が全然違います。
他にも、ドイツではGKの人気が高く、GKのためのキャンプなどがあります。
うちのGK、ティモ・ホルン(写真)はU-21のドイツ代表ですが、そのチームメイトにバルセロナのテア・シュテーゲンとレヴァークーゼンのレノがいて、ホルンが第3GKなんです。その年代が良いというのもありますけど、下でもケルンのU-19にドイツ代表がいて、今年のU-20ワールドカップに出場していました(※ダニエル・メゼンヘーラーという選手)。
実際にシュートを打っても、大学に戻ってシュートを打つのとは全然感覚が違いますし、GKだけをとってもそういった“質”の違いは感じます。