観客席の前に人形を用意し、高いところから首を吊って見せたのだ。
顔にはお面のようなものがつけられているが、ヴァルブエナのものだと見てまず間違いない。きわめて残忍な手法である。
以前、ベルギーのスタンダール対アンデルレヒト戦では、スタンダールサポーターがスティーヴン・デフールを斬首するような巨大フラッグを掲げ大きな話題となった。
このフラッグを見たデフールはボールを大きく蹴り出し、怒りの表情を見せている。
それはなぜか―デフール自身が命の危険を少なからず感じたからだろう。
昨日のマルセイユ対リヨン戦では他にも物が投げられたり発煙筒が焚かれるなどしたが、ヴァルブエナが最も心を痛めたのはこの人形だったのではないだろうか。
マルセイユのファンは熱狂であり、ヴェロドロームの雰囲気はヨーロッパでもトップクラスに情熱的である。しかし、いかなる理由があっても選手に命の危険を感じさせような行動は許されるはずがなく、こうした行動を取る人物たちを「サポーター」と呼ぶことはできない。
結局試合は1-1のドロー。こうしたあまりに激しい洗礼を受けながらも、先制点の起点にもなったプレーでアレサンドル・ラカゼットに絶妙なスルーパスを送ったヴァルブエナは勇敢だったという他ない。